「仕事」カテゴリーアーカイブ

コンサルテーションの難しさを学ぶ(ICT活用教育アドバイザーとして)

文部科学省・ICT活用教育アドバイザーというのを昨年度から務めている。本年度,三重県の桑名市を担当することになり,先日最終の3回目の訪問を終えた。普段は,学校の授業改善への取り組み対してアドバイスを務めることが多いが,この取組は行政がICT利活用を進めるにあたり,プロジェクトの推進や予算獲得などどうすれば効果的に進めることができるかについて,コンサルテーションを行うというものであった。
10月,12月,1月と3度訪問をしたが,訪問するに従い,行政側が何に悩みを抱えているかについて個人的には少しわかるようになった。何か光明が見いだせるように,情報源を紹介したり,アクションの一例を示したり,様々な手立てを取ったつもりであるが,はてさてどこまで貢献できただろうか。政策を浸透させていくことについての難しさについて,別角度から学ぶことができた。ここでも基本は,到達すべき目標を(それが少し遠かったとしても)明確にすることなのだろうと思う。

文科省のアドバイザーといえば,「業務改善アドバイザー」というのが発表されたのが記憶に新しい。ネット上では批判的な意見が多かったように思うが,その組織に今まで直接的に関わっていないコンサルタントがどのように問題解決へと導くのか,大変興味深い。
実際に自分でやってみると,反省点がたくさんある。学校訪問でもそうだが,いつも「これでよかったのだろうか」と自身に問いかけてしまう。

いまさらだが,2016年末

システムの調子が悪くなったのと,気分が乗らなかったことなどがあり,ご無沙汰しておりました。去年のことは,今年のうちにということで,残りをまとめておきます。

  • 日本教育メディア学会は事務局長として,理事会,総会を無事に乗り切った。補佐の山本くん,泰山くんに感謝。課題研究で発表も行った。事務仕事に手一杯で,発表したのが精一杯なのが反省。
  • 人口減少の文科省委託事業の委員として,奈良県へ。川上村,五條市を1日でまわり,話をうかがったり,授業を見学させてもらったりした。遠隔教育は定着するか?
  • 尼崎市大庄中学校。アクティブラーニング事業の一貫で,今回は授業研究会を行った。実際に授業を参観するとみんなも意見交換できる。やってよかったと思う。
  • ICT教育アドバイザー事業で桑名市へ。前回から少し状況が変わったこともあり,再度議論。状況は難しいが,骨子を固めることが重要。
  • 尼崎市立園田北小。同校のダブルエースが授業を公開。いろんなことに取り組む中で,課題を絞り込むことが重要だと思った。みんなで前向きに進めている点が良いなと思う。年度初めには予定がなかったが,この学校には結局3度訪問することになった。
  • 人口減少の中間会議で東京へ。各地域状況や技術がまちまちで,いい情報交換となったと思う。勉強になった。

11月末から12月は学内の予定が多く,外部へのお出かけは少なかった。夜間大学院なので,夜の仕事が増えてきて,スケジュールの維持管理が難しいことを実感した。年末には風邪も絡み,少し体調を壊してしまった。気をつけないとなあ。

反転授業の輪が拡がる(篠山市立丹南中学校)20161115

篠山市立丹南中学校を訪問した。同校はパナソニック教育財団の特別研究指定校であり,私がアドバイザーを務めている。

反転授業をテーマとするこの学校では,前回は数学の授業が公開されたが,今回は数学以外に,英語や国語の授業が公開された。その裾野の拡がりを確認することができた。また,一般的に「授業前に見てこない生徒についてはどうなるの?」とか「教材の準備に時間がかかるのでは?」といったようなことに対して,同校の先生方が具体的にどのように挑戦されているかについても明確になってきた。私からは,これらを含んだ5つの問を設定し,同校の成果と課題を確認した(後日同校へのコメントとして,こちらに文章を寄せたいと思います)。

さらにそれに加えて,反転授業を取り入れる先生にも幾つかの段階があることが確認されたところが大変興味深いところであった。

本校の取り組み,すでに篠山市内の他の学校にも徐々に拡がりつつある気配も感じ取られた。大きな拡がりを期待したい。次回は2月に訪問をする予定である。

長崎大学教育実践研究フォーラム20161105

長崎大学大学院教育学研究科は,現在教職実践専攻のみの一専攻で運営されている。すなわち全国に先駆けて教職大学院の一本化を図った大学院である。教職大学院についても,その制度がはじまったばかりの頃から取り組んでおり,昨年度立ち上がったばかりのうちの大教大連合教職大学院と比較すると,歴史がある。私はここで,2014年末までお世話になった。
この大学で形を変えてきて行われてきたフォーラムに,なんと登壇者として呼ばれた。実習を通して実践研究を進めている院生のポスター発表を踏まえ,コメントをするという役割である。
午前中,大学や附属教員の発表に続いて,院生の発表があった。会う人会う人元同僚なので色んな話となり,短い時間ですべての発表について聞いてまわれず申し訳なかった。
ポスターで見たこと,聞いたことを踏まえ,午後からは柳田先生@長崎大学名誉教授,修了生の吉田先生とともに,登壇した。私からは,研究デザインが精緻であること,多様な評価を試みている実践研究が多いという成果や今後の課題について,大教大の事例を引き合いに出して,説明をした。今後も発展してほしいという願いもあり,いち登壇者としては,少し前に出すぎてしまったところもあるが,会に貢献できただろうか。お話できなかったが,質問を下さった福井の木村先生とは時間があればもう少し議論したかった。
今回特に嬉しかったのは,ずっと研究などを一緒にやってきた教育工学関係の皆さんからではなく,かつて同じ講座であった皆さんを中心とするこの会の運営をする委員会(?)がこのような企画を立ててくださったことである。出ていった人間を呼んでくれた吉田副学部長,前原先生に感謝をしたい。
終了後は,10月から副学長に着任された藤本先生とも長く話せた。学部の多くの先生が頑張られているということがよくわかり,刺激を受けた。10年間この大学で経験をしたこと,出会えた人たちは本当にかけがえのない存在である。たぶんこの先も助け合える存在になれると思う。都合により懇親会には出られなかったが,また笑顔でみなさんと会えるように大阪で頑張りたい。
大学の先生方に加え,現場の先生にも色々とお会いすることができた。十分にご挨拶できなかった方には申し訳なかった。みなさんありがとうございました。いつかもっと時間を取れる日があればと思います。
 

9月終盤から11月はじめにかけて

その後,イレギュラー(いやレギュラーか?)な取り組みとして,以下のようなものがあった。

  • 尼崎市教育総合センターでアクティブラーニングに関する研修(第4回目)。これまで学んだことの確認に加え,グループに分かれ,時間条件の異なる研修プランを組み立ててもらった。
  • 熊本市立出水小。公開研究会前の指導案検討会。
  • 尼崎市初任者研修。アクティブラーニングについて。授業設計の基本をおさえた上で,小手先の工夫に終わらないことが大事。
  • 大学のFD研修の講師。テーマは,アクティブラーニング。制約が多すぎてうまくいかず。早くに限界を見極めるべきだった。柏原の先生や事務の方と数名お知り合いになれたのはよかった。
  • 園田北小校内研。外国語活動。テンポよく活動が進められていた。ICT活用も練られていた。学校カリキュラムとしてどう進めていくか。
  • 備前市立三石小学校。タブレットの活用。よく練られた国語の授業(大造じいさんとガン)を拝見した。
  • 桑名市教育委員会。文科省委託事業,ICT活用アドバイザーとして。予算の少ない中どのように取り組んでいくか。このように関わるのは初めてなので,できるだけ良い方向へ行きますように。あと2回訪問する。
  • 実習の特別プログラムとして台湾へ3泊4日。高雄師範附属小学校へ。柏原キャンパスでの取り組みに教職大学院が帯同させてもらった。高雄は暑かった。
  • 放送教育九州大会。小学校(熊本市立出水小学校)の指導助言を担当。テーマである放送番組の活用,アクティブラーニングに資する取り組みが,十分に効果的に盛り込まれている授業であった。学校としての取り組みをパワーアップポイントとしてまとめて発信された。金井研究主任を中心として,先生方がよく議論された成果。学校としてもブロックとしても次につなげてほしいと思う。
  • 備前市立三国小学校。本年度で廃校(休校?)の児童3名の学校。昨年度に引き続き訪問。中国との国際交流。英語でヘルプをしようとするも撃沈。交流には苦労が伴うが,見た人は効果を感じるであろう,そんな授業であった。先生はよく準備され,子どもたちも頑張っていた。国を越えての交流の難しさを自分も実感した。
引き続き,やり過ぎの状態だ・・・。この他,来客やゼミ指導,実習訪問でなかなか気が休まる暇がなかった。