理論と実践の往還は、理論→実践の逆、実践→理論で捉える方向もある。
教育実践を進めている際に、ある取り組みがうまくいったら、それを人に伝えたくなる。その際は、何をやったのかを伝えた上で、なぜそれが上手くいったのかを言語化する必要がある。逆に、教育実践がなんだかうまくいかずに終わってしまうこともある。こちらも、なぜ上手くいかなかったのかを考えることで、次に繋げようとする。
これらのことを自分の言葉に置き換えて明確に説明することは、難しい。そこで、説明をするための言葉やそれにつながるヒントを探すことになる。この際に、言語化を助ける物差しとして、理論で意味づけをする。
理論を適用として取り組む流れではなく、やってる中で理論との関連性を見出すという発想である。あるいは、やってるうちに理論につながってくるということを意識するということである。こうした立場に立つのは、経験豊富な現職教員の思考の流れとして求められることである。
この立場に立った時に、初めからひとつの理論を持ち出して、無理に合わせないことが大切である。理論はいっぱいある。あるそれらしきひとつが見つかったとしても、たまたまそれが見つかっただけで、もっとクリアに説明できる理論があるかもしれない。あるいは、別の理論をもって、教育実践の様相をより多角的に捉えられるかもしれない。ある理論と別の理論を組み合わせて考えるとより理解が促進されるかもしれない。
理論→実践は、ある特定の理論に集中して整理しやすいのに対し、実践→理論は、暗中模索しながら、理論を通して少しずつ言語化をしていくため、時間もかかりやすく、難しい。後者は一般的な研究の思考ルートとは異なるのだが、実はこういう思考ができてこそその道に長けた専門職となることができるのではないだろうか。