専門的な学びを進める上で、先行研究を調べるのは欠かせない。このことについて、少なくとも2度にわたって述べてきた。
しかし、「どのように調べればよいのか」ということについては述べていなかった。そこで本稿では、先行研究にあたり、学習を深めるための視点と方法を紹介する。
1. 広く調べてから絞り込む、そして記録する
基本は、広範な情報に目を通したうえで徐々に対象を絞り込んでいくことである。授業で紹介される文献は厳選された資料であることが多いが、それが必ずしも自身の関心や研究課題に合致するとは限らない。そのため、自ら積極的に情報を調べる姿勢が求められる。
多くの資料にあたり、共通する概念や論点、キーワードを見つけ出すことが重要である。また、調べた内容を記録・整理しておくことで、後の執筆において大きな助けとなる。
2. 一般的な言葉から「より専門的な言葉」へ掘り下げる
日常的に用いられる言葉(例:「リーダーシップ」)は抽象的で広義的であるため、学術的な探究においては、その下位概念や具体的な用語を見出すことが求められる。
たとえば、「リーダーシップ」という語を出発点に、「スクールリーダーシップ」「ミドルリーダーシップ」「学校運営」「学校経営」「学級経営」など、より文脈に即した専門用語へと掘り下げていくことが有効である。これらの語は学校教育における固有の文脈を持ち、検索精度の向上にもつながる。
近年では、生成AIを活用し、関連あるキーワードを広げることも可能であり、調査の初期段階において有効な補助手段となっている。
3. 「人」を起点に研究を広げる
先行研究を深めるうえで、その分野における「キーパーソン」(主要な研究者や著者)を把握することはきわめて重要である。以下のような手法を用いるとよい。
図書館の活用:大学図書館、特に関連の蔵書が充実している館(例えば大阪教育大学は当然教育関係の書籍が多い)では、関連分野の資料に効率よくアクセスできる。複数の資料に目を通し、全体像を把握することで、研究の焦点を明確にすることが可能である。
著者に注目する:文献を読み進める中で、頻繁に登場する著者名に着目すると、その分野での影響力を持つ研究者が見えてくる。
学術データベースの活用:キーパーソンと見なされる研究者の他の著作を、CiNii Researchなどのデータベースで検索することで、新たな関連文献や引用文献にアクセスできる。
引用文献の追跡:論文に記載された参考文献リストを辿ることで、当該研究の理論的背景や先行的議論を把握できる。引用文献はその分野で基礎的な位置づけを持つことが多く、研究を深めるうえで不可欠である。
4. 論文誌や学会を活用する
特定の論文が見つかった場合、その論文が掲載されている論文誌全体に目を通すことで、関連する研究の傾向や分野の動向を掴むことができる。たとえば、「日本教育工学会論文誌」に掲載された論文があれば、同誌の他の論文も類似のテーマを扱っている可能性が高い。
また、調べていた論文誌が発行している学会やそれに関連する学会(例えば、ICTに関する論文で日本教育工学会の存在を知ったなら,関連しそうな教育メディア学会や教育システム情報学会など)に注目し、発表論文や論文集、シンポジウムなどの情報を活用することで、より多角的な視点を得ることが可能となる。