教育実践研究をまとめる(10)先行研究を比較検討する

前回,(通常は研究と言わないものも含む)先行研究について,どのように考え調べるかということについてまとめた。「多様に調べる」ということが重要であるとした。要は,量と質が大切である,ということになる。

しかし,それが通じないケースがある。1冊の書籍を通して自分にはストンとおちた,あるいは紹介された書籍がとても参考となるものだったという事例がそれにあたる。特定少数の資料を参考にするだけでは,基本的にうまくいかない。その資料は,質は高かったかもしれないが,量的な観点が抜けているのである。

そこから派生させて調べ続ける必要がある。複数調べて,その考え方の異同を比較検討することが必要である。結果1冊読んだ書籍の考え方を利用するとしても,なぜそれを用いるのかという理由を説明できることが必要である。それには,他の資料と比較検討して,なぜ当該資料を採用したのかという方法を取ると説明がしやすい。あるいは,複数資料を比較検討し,組み合わせる,という方法もあろう。

この段階で得てして「他に関連資料が見つからない」という言葉も聞く。これに対しては,キーワードをいくつか用意するということが必要である。たとえば,反転授業に関する研究を調べようとする。そのときに,「反転授業」というキーワードを利用しているだけでは広がらない。例えば,このキーワードに関連する新たなるキーワードを考えてみよう。そうすると,予習や宿題,家庭学習などというものを思いつく。

一方,絞れないというケースもある。この場合もキーワードが重要な役割を果たす。例えば,「ICT」だけを調べても無限に出てくるので,関連する資料に多く当たりながら,さらに深めたいキーワードは何なのかを考える必要がある。

なお,研究論文について整理,比較検討する場合は,文献をレビューする方法についてまとめられた書籍が出版されているので,そちらを参考にすることをおすすめする。