教育実践研究をまとめる(11)結果や成果は「やったこと」ではない

学年暦としては1年の半分が終わるこの時期,教職大学院における教育実践研究でも一旦区切りをつけてまとめる機会が多いのではないかと思う。私の所属する大学院においても,発表を通してそれをまとめる機会があった。
ここではだいたい,目的やそのためにどういったことに取り組もうとしたか(いわゆる計画)を語った上で,その成果や課題を説明するというのが一般的だと思う。


その「成果」部分において,「やったこと」を説明することで終わるケースがある。例えば,ある教育実践について,学校内での普及を図るという目的があったとして,その「成果」として「学校で授業研究を行うことができた」というようなものである。
これは本来,その前の計画部分に組み込まれるべきものである。もちろん,計画したことを実際に行動に移すためにはたくさんのハードルがあるに違いない。しかし,やっただけでは,直接「成果」とはいえない。もう少し言えば,計画で具体的に何を行うかについて構想していない場合,成果としてやったことやできたことを説明してしまうことになるのかもしれない。


成果として語られるべきものは「やったこと」「できたこと」「行動したこと」ではなく,「実際にやったことがどのような結果をもたらしたか」という形で説明されるべきである。例えば,研修の評価方法として有名なカークパトリックの4段階評価法(日本eラーニングコンソーシアムのページ)においては,一番レベルの低いものとしてレベル1(反応)からスタートしている。実際に教員研修をやったという事実があり,それが終了した際に,研修参加者からどのような反応があったかということが成果として語られるもののはじめの段階となる。
目的ー方法ー結果ー考察ーまとめと課題というフォーマットで普通の論文のように考えてしまうと,こういうことが起こるのかもしれない。ここでいう「方法」として書かれることは,教育実践研究においては,多様なものとなる。

本日書いたことに基づけば,通常の研究論文の「方法」にあたる部分は,少なくとも「(当初立てた)計画」と「実際に行ったこと」については含まれること,それらは切り分けて書かれるべきであるということになろう。その他この部分でまとめることは,次回以降に整理したい。