この時期、教職大学院に在籍する修了年度の院生たちは、年間の計画を立て始めていることが多い。理想を言えば、こうした計画は前年度のうちに策定しておくのが望ましいが、新年度を迎え、自身の立場や学校内の体制が明確になると、それに応じて計画を見直す場面も多くなる。
では、年間計画を立てる際、どのような時期を念頭に置くべきだろうか。
これは経験に基づく話であるが、筆者の勤務校では、報告書の提出期限が例年1月中旬に設定されている。そのため、筆者は学生に対し、「11月末までに行った実践や収集したデータ」を報告書に盛り込むことを目安とするよう指導している。
しかし、11月末はまだ第2学期の途中にあたり、すべての実践を終えるにはやや早い時期である。理想を言えば、11月末までに教育実践研究の計画をほぼ完了させ、それを報告書にまとめるという流れが望ましい。
一方で、学校現場にはその後も3~4ヶ月の期間が残されており、学校ぐるみで取り組む教育実践研究を対象とする場合、「報告書の締切があるので、11月までに計画を完了させたい」と申し出ても、現実的には受け入れられにくい。これは避けがたいジレンマである。
したがって、11月末を一区切りとしながらも、無理のない計画を立てることが肝要である。12月以降も現場での取組が継続されるのが一般的だが、11月時点で5%しか進んでいない実践が、2月や3月に一気に完了するとは考えにくい。
逆に、11月末時点でおおむね8割の実践が終了していれば、その時点での到達状況と今後の見込みを報告書に記述することで、読み手にも「残りも含めて概ね到達するであろう」と自然に理解される。
要するに、教育実践研究の全体像を重視しつつ、途中経過と今後の見通しを報告書に示すという姿勢が求められる。
ただし、ここで述べているのは、現職教員が学校ぐるみで実施する教育実践研究を、教職大学院の報告書としてまとめる場合に限った話である。学会誌に投稿する論文については、実践が完了してから執筆するのが原則であり、このタイムラインは適用されない。