「仕事」カテゴリーアーカイブ

新入生合宿を開催

連合教職大学院の1泊2日の新入生合宿が開催された。今年が2回目。昨年度から場所を変え,連合大学の関西大学が持っている飛鳥文化研究所で行われた。はじめて行ったのだが,とても素晴らしい施設であった。初日の土曜日はあまり天気が良くなかったが,部屋からの眺めはとてもよかった。

前日金曜日に簡単なオリエンテーションが行われたのだが,教務や実習に関して,さらに説明が行われた。またM2生の工夫により,良い仲間づくりができた。ストレートマスターが所属する教育実践力開発コースにおいては,教員採用に向けての心構えも話されて,みんなさらに気を引き締めていた。

みんな大学院に来るぐらいなのだから,何か心に期すものがあり,頑張ろうと思っているのは間違いない。これを通して,何を頑張るかが具体化でき,それをともに実現させる仲間がいることを実感してくれたら良いのだろうと思う。

時期が時期だけに,来ることができない人はもちろんいる。そのひとの仕事のこと,家庭のことを思うと個人的にはどういう形が良いのかな,と思う。いろんな人がいることを踏まえつつ,今回の合宿の成果も生かしながら,教員も院生も協働しながら,充実した学習コミュニティを創っていきたい。大学院がさらに発展しますように。

タブレット端末活用に関する調査の論文が,教育メディア研究に掲載されました

昨年度末のことになるが,教育メディア研究という日本教育メディア学会の学会誌に研究ノートとして,以下の論文が掲載された。

寺嶋浩介・中川一史・村井万寿夫(2017)市内全校1人1台タブレット端末環境導入期における 教師のICT利用に関する実態と印象 ー校種の違いに着目してー 『教育メディア研究』23(2) pp.47-56.(2017年3月15日)

概要は,以下のとおりである。結果は当たり前といえば当たり前なのだが,自治体全域に1人1台端末が導入されるというまだあまりない例を対象として,行った調査である。今後このようなことに取り組むところが参考になればと思う。特に中学校に導入する場合は,どういった方策を取るかについて,考える必要があるのではないかと思う。校種により,教師の受け止め方がかなり異なっていた。

本研究では,市内全学校に児童・生徒用1人1台のタブレット端末を導入した自治体を対象に,導入期におけるタブレット端末をはじめとするICTの活用実態や,タブレット端末に対する印象について,校種の異同を明らかにするため,A市(人口3万7000名程度)の小学校13校と中学校5校に勤務する教師(授業担当者195名)を対象とし,調査を行った。その結果,小学校教員のほうが,中学校教員よりもタブレット端末をより活用しようとしていること,小学校教員のほうが中学校教員よりも教師のICT活用について取り組んでいること,児童・生徒によるICT活用は,教師によるICT活用よりも相対的に進んでいないこと,タブレット端末の活用について,小学校教員よりも中学校教員のほうが利用に対して大きな負担を感じていること,などが明らかとなった。

「いつ論文をかいているのですか?」という質問をたまに受けるが,日常の仕事の中でいつかいていたのか本当に記憶がない。あまりにも時間がなかったので,最後新幹線から投稿をしたのだけは覚えている。修正期間が年末年始が入っていたので辛かった・・・(これ,なんとかならんもんでしょうかね)。こんな感じで進めたので,中川先生や村井先生からはかなりの短期間でコメントを頂くことを繰り返してしまった。しかし,無事掲載でよかったよかった。

2016年度を振り返って

2016年度があと少しで終わる。大教大異動後,実質2年目という1年であった。過去の経験から学んだことなのだが,1年目は大変だけれど,覚悟が出来ている。実際は,2年目は特に大変だろうと思い臨んだ1年であった。

研究については,昨年度ひとまとまりしたのもあり,立ち上げ期の1年であるという位置づけであった。何とか取っ掛かりをつかめたか・・・。論文は,筆頭著者としてのものが年度中に発行予定。それでも代表となっている科研の研究進捗が遅れ気味であり,何とか取り戻さないといけない。少しまとまりつつあるので,引き続き進めていきたい。時間をいかに有効に活かすかを考え,学会発表については減らしている。久しぶりに国際会議(ただし日本で開催)で発表をした。研究はできるだけ自分より若い人とともに行うことを心がけている。その姿勢も含め,学ぶことも多い。

大学での仕事は,2年目は完成年度ということもあり,先回りをして取り組む日々が続いた。ある程度安定してきたので,「自分だけで行わない」ことをテーマとして取り組んだ。それでもなお,そこそこの仕事量があった。年末ぐらいから,なぜか色々と重なり出席する必要のある会議が激増してしまった。講義については昨年度と比べて改善に着手できた。次年度は科目見直しも入るので,しっかりと準備をしたい。

外部での仕事が激増してしまい,大変な1年となった。継続的に通うところが増え(丹南中,城陽中,園田北小,出水小,備前市など),講演・研修等もこれまでよりも多かった。尼崎でのアクティブラーニングに関するシリーズ研修は研究を考える良いきっかけとなった。また,何かの委員や会議の出席などもあり,ひとつひとつは大した負担ではないが,常に何か予定が入っている感じとなってしまった。大学院の実習時期と重なると体力的に辛くなるので,次年度は見直しを図らなければいけない。残念だけれど,断る仕事も出てくるだろう。教育工学会は大会企画委員会委員長としての任が次期大会まで。教育メディア学会の事務局長は折り返し地点をむかえた。常に両方の仕事をすすめるのは流石に大変なので,自分でバランスを見て調整をしている。

こうやってまとめてみると,研究に対して「軸」を持って挑まねばならない,と改めて思う。やってよかったな,と思える研究をしたい。

大学におけるアクティブ・ラーニングのネクストステージは

先日,京都にある光華女子短期大学を訪問した。同大学の大学教育再生加速化事業の外部評価委員を務めており,1年の年度末にその取組をうかがい,それについてコメントをするという機会があり,これで3年目となる。
同大学のアクティブラーニングの取り組みは本当に多様である。ライティングやICTなどのスキル習得に関する授業の工夫,京都ならではの伝統文化の授業への導入,他県へのフィールドワーク,専門科目でのプロジェクト型授業など。先生方が試行錯誤しながら,おそらく相当な時間をかけ授業をデザインされていることがよくわかった。
私からは,さらにそれらを整理し,つなぐ工夫があると更に良くなるのではないかということをコメントさせていただいた。科目間連携により,同大学が学生につけて欲しい能力を計画的にのばしていくという所まで来て,「カリキュラム開発」と呼べるのだろうと思う。単体の授業から,複数科目の計画な連携を図るのが,大学におけるアクティブラーニングのネクストステージだと思う。実際にはすでに先生方は,いくつか計画をされており,すでにそうしたことを視野に入れておられる。
この大学においては本事業を受けたこともあるが,月に1回集まり,プロジェクトに基づいて進捗状況を報告したり,メンバー間で確認しないといけないことを共有しておられるという。いつも思うが,前向きに努力をされていて,同じ大学教員として感心する。

デジタル教科書を活用した情報提示の事例

神戸へ向かい,日本文教出版主催の「デジタル教科書セミナー」に出席した。2年連続となる。講演の時間を1時間いただき,次期学習指導要領向けた動向,その中でのデジタル教科書位置づけなどについてお話をした。連合教職実践研究科の院生も3名来てくれて嬉しかった。
後半は,事例紹介や実際にサンプルを利用するワークショップが行われた。授業展開が考慮されている教科書がデジタル化されているわけだから,それを単独で用いても利用しやすいので,先生方にとっては有力なデジタルコンテンツのひとつとなる。加えて,それをさらに充実させようとすれば,何か対比的に情報を持ってくることができればさらに深い理解へと到達させることができる可能性がある。中学校美術科の実践報告においては,同じ作り手の作品を対比的に示したり,違う角度からの作品を提示したりして,生徒の見方をさらに深めようとしていた。今後はタブレット端末の導入や技術的な進展ともあわせ,さらに児童・生徒の主体的な学習への流れが進むであろう。
昨年,「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議が開催され,この段階での「最終まとめ」が出された。今後紙の教科書だけではなく,デジタル教科書がどのようになっていくのか,それは今後の教育の方向性とも大きく関わることになるので,その動静について注目したい。