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教育実践研究をまとめる(8)校内・組織内の課題の分析で次に行うことは

前回の続き。

いよいよ既存のデータから整理ができ,それでもさらに課題を明確にしたいときは,実際のところ現状はどうなのか,ということを調べる。

ここでよく受ける質問のひとつに,「アンケートを取りたいのですが・・・」とここでも来る。

オーソドックスに言えば,量的な調査であるアンケートのようなものとそれではわからないような詳細を調査し,分析したほうがよい,ということになる。

しかし教職大学院の実践研究の場合,時間は有限であるということ,そもそも実際のアクションを起こさないとはじまらないこと,アンケートの場合,充実した質問紙を作ろうとしたらそれなりに時間がかかることを考えないといけない。また,仮に学校の先生で自校で課題発見の場合の調査をかけようとしても,そもそも人数が少ないことがほとんどなので,充実した量的調査を行うことは難しいことが予想される。

このため,問題発見の方法としての次のステージは,「インタビュー」をおすすめしたい。もちろん,インタビューにだって,手法上勉強しないといけないが,よくない質問紙より多くの情報を得ることができる。

誰かに見てもらいながら,複数の質問項目を立て,その項目を利用し,複数名に聞いてみる。初期段階では,話してもらったことをもとに,質問項目を多少見直すことも必要である。

各対象者(A,B,C・・・など)を縦列,各質問項目を横列に並べ,回答の趣旨をそれぞれのセルにまとめる。そして,各質問項目別の回答傾向の特徴をまとめる。また,各対象者の回答の特徴をまとめ,その回答に類型があるかなどを見るというのが,分析の初歩であり,この段階ではこの方法で内容を確認するということで問題ないと思う。分析手法はもちろん学んでおいて損はないが,まず誰でもできる手だてをとるというのが鉄則である。

大阪府のICT担当指導主事を対象に講演

昨日,大阪府教育センターを訪問した。かつて大学院生の実習のために何度か通ったが,実に久しぶりであった。

文部科学省のICT活用教育アドバイザーとして,大阪府から依頼があった講演について事務局から指名があり,日程も空いていたため,実現した。

大阪府の政令市を除く,市町村の教育委員会のICT関係担当指導主事の先生方へ,GIGAスクール時代に教育委員会として配慮する必要がある点について,お話をした。

普段大阪市との付き合いが多く,大阪府での仕事はあまりなかったが,この会を通して,多くの自治体が一所懸命取り組まれている様子などを把握することができた。こうしてすでに進んでいる自治体に対して,大学は何をできるかを考えていかないといけないだろう。

研究会で発表

先週,信州大学において,日本教育工学会研究会が対面で久しぶりに開催された。以下について,発表をした。

勝田 浩次, 寺嶋 浩介, 斉田 俊平, 菊地 寛, 平田 篤史, 中川 一史(2022) 学習指導要領に基づく思考力・判断力・表現力の自己評価用項目の開発-小中高等学校の学習指導要領を対象として-. 『日本教育工学会研究会報告集』JSET2022-2, pp.156-161.(2022年7月2日)
https://doi.org/10.15077/jsetstudy.2022.2_156

ファーストの勝田さんが仕事のため,私が発表をすることになった。研究会での発表は,2017年以来らしい(この間の2年間は研究会委員長で研究会には結構参加はしていたので,まさかである)。

この内容について,昨年度の春先から取り組んできた。夜にZOOMで寄り合い,議論を重ねたもので,実は結構な時間がかかっている。中川先生と勝田さんにこのテーマについて別途同時に声をかけていただいた中で実現したものであった。

学習指導要領を思考力・判断力・表現力の視点から整理したものであり,何らかの形で教育実践に寄与できればと思う。ひとつ形になってよかった。

しかし,大阪ー名古屋ー信州というルートは,最近出張がなくなった中ではなかなかしんどい旅であった。

教育実践研究をまとめる(7)校内・組織内の課題の分析でまず行うことは

先の投稿において,外向きと内向きの分析があることを述べた。ここでは,内向き,すなわち校内・組織内の課題を分析することを考える。

ここでよく受ける質問で一番多いのは「どのようなアンケートをとったら良いでしょうか?」である。しかし,アンケートを行うというのはかんたんにできるものではないので,その前にまずはやりやすいことから考えたほうが良い。

ひとつは,すでに組織内においてなんらかのデータが残されていることがよくある。例えば,今までアンケートをとっているのだが,それが残っているだけでデータとして活用できていないという事例が見られる。ならばそれを分析しどういう事がわかるか,そしてこのデータで取れていない情報はあるかを検討する。後者については,今後アンケートを行うとしたら,項目の準備につながる。

そのようなデータが残されていなくても,校内に研究紀要,あるいはそこまでいかなくても何らかの文書が残されている可能性がある。ここでもどういう内容が取り上げられているかとか,かつてはどのような目標が設定されていたのかを,過去にさかのぼって調べることができる。

続いて,校内・組織内のリーダー(管理職などの校長)がどのような課題を感じているかをヒアリングしてみるという手段もある。対象者は少数で一般化できるようなデータではないが,トップやリーダー層が考えていることに基づいて,教育実践研究の課題との接点を明確にするのは必ず必要な作業だと言える。

教育実践研究をまとめる(6)問題状況(課題)を分析する

教育実践研究を進める場合,現場が抱える問題状況を分析することが必要である。

この際,内向きと外向きの視点を持つことが必要である。

内向きは,自身の学校(あるいは学級)などが抱えている身近な課題を明らかにするということになる。それにより,どのような課題を抱えており,それがどういう要因により問題があると考えられるのか,ということを検討し,明らかにするということになる。

加えて,外向きの視点が必要である。課題について,他者や他校,他地域がどのように取り組んでいるのか先行事例にあたる。文部科学省等の政策を通して,一般的にどういうことが課題として認識されているのか,それに対してどう対応が検討されているのかを調べる。論文として出されている研究ではこの点に関してどのような研究がなされているのかについても調べる。

そして重要なのが,ここで終わりとするのではなく,内向きの視点と外向きの視点から得られた情報を比較し,どういったことが自身の学校等では問題となっているのかを明確にした上で,それを解決するために教育実践研究の全体像や研究目的をまとめていくということが必要である。

研究の目的を明確化していくには時間がかかる。もちろんはじめから何かをやろうと思って教育実践研究に取り組むのだろうが,この分析を改めて行うと,テーマの見え方が変わってくる。多くの場合,焦点化することが必要である。