教育実践研究をまとめる(4)研究目的の立て方(効果検証の場合)

どんな研究においても研究目的が明確になっていることが重要である。この研究目的がその内容の成否の鍵を握る。
なにか目的や目標(これらをここでは使い分けるものではないが)について,明確に示すには,インストラクショナル・デザインでも取り上げられるメーガーの3つの質問が参考になる。それは,

  • Where am I going? (どこへ行くのか?)
  • How do I know when I get there?(たどりついたかどうかをどうやって知るのか?)
  • How do I get there?(どうやってそこへ行くのか?)

として記述されるものである。(なお余談にはなるが,このメーガーの3つの質問について,林先生@徳島文理大の記事が大変勉強になるのでおすすめしたい。)

教育実践研究において,仮に何かの効果を検証するという場合には,これらを参考にし,
1.誰のどんな効果をねらえばよいのか(向上させればよいのか),
2.それをどのように把握しようとし,それがどの程度の水準に到達することを目指すのか,
3.どのような方法でその効果をねらうのか,というような形に整理することができるだろう。

1については,「生徒の書く力を向上させる」というような形で記述される。この点で誰の,どのような能力かなどが記述されることが必要である。ここでは,もちろん「書く力」が一体どういう力なのかもその前提で明確にしておくことが必要である。
2について,例えば学力に関するテストで把握するなど評価方法を記述することが必要である。また,それがどの程度に達すればよいかについても述べられないといけない。例えば,事前調査と事後調査を比較し,事後調査が統計的に有意な形で向上するなどといったようなものになるだろうか。なお,これに関しては目的には文章としては組み込まないケースが多いが,目的以降に「研究の方法」として記述されることになる。
3については,効果をもたらすことができる(と考えている)方法を記述することになる。例えば,シンキングツールを活用して・・・とか,ICTの活用で,といったような手段がそれにあたる。

この際,3つが一致しているかどうかも重要である。例えば,1で「生徒の書く力」としたときに,3で教師の授業研究とはめてしまうことが結構ある。授業研究をしたことが生徒の書く力に結びつくまでにはさらなるステップが必要となるので,この場合,課題となる目的について分割をし,授業研究を通して教師の書く力に関する指導力の向上→先生の指導による生徒の書く力の向上,と目的を2段組にして示すことになる(いずれも大きな課題だけれど)。この1と3のセットにブレがなければ,2を検討することになるだろう。

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