稲垣君の本を読んでいる途中で,自分の研究もちょっとは紹介していかなければならないと思いました。私の博士論文は
寺嶋浩介(2003) 総合的学習における情報メディア活用に関する研究 博士課程論文(関西大学)(2003年3月31日)
です。これを中心に紹介していきます。総合的学習というと小学校から高等学校の「総合的な学習の時間」をさしますが,大学等での問題解決学習,構成主義的な学習などにも役立つ知見が含まれていると思います。
今回はそのうちでも以下の2点を紹介。
水越敏行・寺嶋浩介・中橋雄・土井大輔(2002) 総合的学習の設計・実施・評価に関する研究 『情報研究(関西大学総合情報学部紀要)』17 pp.51-81.(2002年8月20日)
寺嶋浩介・中橋雄・土井大輔・水越敏行(2001a) 総合的学習における学習活動のタイプ分け 日本教育方法学会 第37回大会(岡山:岡山大学,2001年9月29日)『日本教育方法学会 第36回大会発表要旨』p.45.
以上にまとめられている総合的学習における学習活動のカテゴリーについて紹介します。総合的学習においては学習者中心の学習が望まれるため,学習者の活動をどう構成していくかが重要となります。構成要素は以下のようにまとめられることが実践の分析の中からわかってきています。
- 聞く・見る
- 外部人材の話を(講話のような形で,広い視野から)
- 教師の話を
- テレビ・ビデオを
- 作品を(先輩の作品,工芸品など)
- 出かける
- 外部施設に(図書館や地域の施設)
- 野外に(川など)
- 調べる
- 資料を(図書,ホームページなど)
- インタビューをして(子どもたちが目的を持って)
- 現地で調査をして(例えば川での水の採取,石集めなど)
- 実験・体験をして(調査環境を作って,自分たちで体験的にやってみる)
- アンケートをとって
- 比較考察する
- 他の地域と
- 昔のものと
- 作る・まとめる
- メディア作品を(ビデオなど)
- 発表用資料を(パワーポイントなどのプレゼンテーション)
- 料理を
- 伝統品・工芸品を
- 手紙を
- 作文を
- 観察記録を
- カード・ポートフォリオ等に
- 交流する・話し合う
- 対面で他の学校と
- メディアを解して他の学校と
- 異学年の人と
- クラス内で
- グループ内で
- 対面で外部人材と
- メディアを介して外部人材と
- 発表・発信する
- 発表会で
- 学芸会で
- ホームページで
- 自己評価する
- 成果物をもとに
- 自分自身の体験を振り返り
- 評価・アドバイスを受ける
- 外部人材から
- 教師から
- 友達から
- 教科学習を行う
- 導入として
- 学習に応じて
- 成果に基づいて(総合でやったことを教科学習につなげる)
ひとつひとつのカテゴリーを見てみると,ちょっとどうかなと思うところもあるし,(ねらいなく)活動のみを抽出する批判もあると思います。それを踏まえて博士論文にはこれを入れなかったのですが,あえて復活をさせてみました。とりあえず今日はここまで。