プログラミング教育に関する議論(ICTE情報教育セミナー20160508)

第70回ICTE情報教育セミナーが天王寺キャンパスで開催された。高等学校情報を担当される先生方を主として対象とするセミナーである。80名程度の参加者で大盛況。私は過去に数度担当したり登壇したりしているが,今回は会場準備担当のみで,参加をさせていただいた。前任校ではそもそも情報の教員養成の担当教員として採用されたのだが,実務の関わりが離れていき,大阪教育大学においてはまったく異なる位置づけになった。そのため勉強不足なので,自身にとってよい機会となった。

次期学習指導要領での議論を踏まえ,その動向や実践事例についての解説や議論が行われた。今もっとも関心が高いのはプログラミング教育である。朝日新聞による小学校でのプログラミング教育必修化を検討 文科省 の記事は,記憶にも新しい。高校の情報においても,関心が高いようだ。

セミナーを受けての私の感想だけれども,プログラミングを行うことで期待される論理的思考力はそのすべて育てられるのではなく,一部に限られる。良構造問題の解決をする思考力育成という目的において,役立つひとつの教育なのかなと思った。これをそもそもある程度実施していない場合は,トレーニングとして取り入れたほうが良いと思う。こういうことを取り組んでいないと,悪構造問題の解決は難しいのではないかと思うからだ。過去自身が書いた記事を思い起こしながら聞いていた。もうひとつは,プログラミングで上記したような論理的思考力ばかりにフォーカスをさせすぎてしまうと,他の教科で論理的思考力を育成すればいいじゃないか,ということになるのではないかと思った。プログラミングで,コンピュータサイエンスとして,何を学ばせないといけないのかということをきちんとしておかないと,ただ意味なくプログラミングさせられてプログラミング嫌いをたくさん生み出してしまうように思う。もちろん,授業においてはその文脈をどう設定するか(すなわち,プログラミングは現実のどこで役立っているかを説明したり,実感させたりするということ)も重要であろう。

ところで,本セミナーでは,大学時代の多くの後輩が参加をしていた(中には私の授業を受講した学生もいる)。今大阪の教員として活躍しているので,今後仕事でお世話になることがあるかもしれない。とても心強く思った。