「速くどいい」授業(丹南中学校の反転授業)

篠山市立丹南中学校を訪問した。同校はパナソニック教育財団の特別研究指定校となっており,財団からの派遣アドバイザーが私となっている。実践研究のテーマを反転授業の実施としており,実質的な第1回目の校内研究会が開催された。授業は体育,社会のICT活用についても公開されたが,私は,反転学習を実施した数学2クラスの授業を参観した。この2クラスは,標準コースと基礎コースという分かれ方をしている。

両クラスとも同じ教材を活用していたが,基礎コースにおいては事前にビデオを視聴していない傾向が高いことを予測し,授業内において1人1台のタブレットで視聴させるという手立てをとっていた(だから現実に言うと,反転授業,ではない)。反転授業の実施において,「事前にビデオを視聴してこない生徒にどう対応するか」というのがまず質問にあがるが,同校の対応は,今のところこのような形である。

さて,標準コースはというと,ビデオを見てきていることが前提で進められた(とはいえ,見てきていない生徒も私の目から見ても見られたが)。授業のスピードがものすごく速く驚いたが,生徒はついてきていた。また,わからなかった部分に関しては,自発的に生徒同士が話し合い,問題を解決しようとしていた。担当の先生によると,今まで2時間かけていたことが,1時間でできるようになった,ということであった。

標準コースのこの授業,より効率的に授業が進められたという,反転授業の効果がひとつ現れていたように思うが,一方で,学んだことを定着させるべく,何度も手を変え品を変え,練習問題をしたり,教師が問いかけをしたりという取り組みが何度も重ねられていた。生徒の発表機会もものすごく多かったように思う。おそらくこのような工夫がないと授業が上滑りし,本当に定着したのかどうかが怪しくなる。反転授業の工夫として,確保された時間の中では,実際にしないといけないものなのだろうと思った。

事後のコメントにおいて,私はその授業を「速くどいい」授業とまとめたのだが,さて的を射たかどうか・・・。とにかく同校の実践研究が助走期間を経てスタートダッシュを切ることができたので,とてもよいことだと思った。今後この取組が学校や地域に広がっていくことを期待したい。