「教員養成・研修におけるメディア活用」をテーマとした論文化のワークショップ(日本教育メディア学会)20150207

およそ20年ぶりに奈良教育大学を訪問した。日本教育メディア学会のワークショップのためである。企画委員会によるワークショップは,年に2回開かれており,うち1回は編集委員会との合同で開催されている。7月末に「教員養成・現職研修におけるメディア活用」という特集論文の締め切りがあるのだが,その前段でテーマについて共通理解したり,これから進める研究について議論をしたりする場として設けられた。編集委員会の担当が奈良教育大学の小柳先生で,企画委員会の担当が私である。

まず,テーマに関する研究の理解ということで,後藤先生,前田先生,加藤先生からお話を頂いた。後藤先生のビデオでのお話はかなりクリアで,教員養成学が教育の情報化から見て抱える問題(特にカリキュラム)について紹介していただいた。また,今回のテーマの方向性として,コンテンツとして教員養成や研修で,メディア活用について学んでいくということと,養成や研修の手段としてメディアを活用するという研究があるということを整理してくださった。前田先生からは,省察概念の重要性,そこでのメディア活用の可能性としてデジタルストーリーテリングの取り組みについて紹介してくださった。先行研究の検討の範囲や教育実践研究のまとめ方などについて話が及んだ。加藤先生からは日本語教育の教師コミュニティをネットワーク上でどのように運営をしていくかについての研究が紹介された。コミュニティのサイズだとか,そこで課せられる活動内容が重要であるということを学んだ。

後半は,今野先生,小柳先生,寺嶋グループに分散し,参観者に持ってきてもらった研究について,具体的な切り口や分析の方法などを検討した。ひとつの実践においてどのようにテーマを絞込み論文化をするか,多様なデータ収集の重要性などについて再認識させられた。

最後に,編集委員の村上先生から教育メディア研究への投稿にあたり,注意すべき点を述べてくださった。実践研究において,教育実践自体の目的と実践研究としての目的の違いに留意することの重要性を説明していただいた。これについてはなるほどなと思う一方,もう少し考えてみたい点でもある。このへんの考え方の違いが,査読論文としても難しくなっているのかなという気がした。

いろいろ議論もでき,充実した会になった。登壇者の先生方や小柳先生に感謝。