教材や教え方に関する知識の必要性(体育におけるタブレット端末活用の記事を目にして)

先日,教育家庭新聞(KKS Web:教育家庭新聞ニュース|教育家庭新聞社.)において,「撮影をしてお手本と比較 運動動作を正しく習得」という記事を見つけた(8月4日付の第5面,Webにはなさそう)。実践とともに,「見ん者」というソフトが紹介されている。このソフト利用すると,

  • 動作を撮影すると,自動的に連続写真として分割される
  • 見本と比較してみることができる
  • 見本と自身の動作を関連付けることができる
  • 映像再生には色んなモードがある

等があるようで,どんなものか興味深いソフトである。

これを見て過去の卒論指導を思い出した。最近,タブレット端末を活用し,撮影をした上で,みんなで一緒に見た上でアドバイスし合いましょうという実践がよくある。しかし,これでどの程度できるようになるのかという疑問があった。

  • 見てもできないものはできないのではないか。
  • そもそも見るポイントがわかっていなければ,お互いにアドバイスをできるわけもない。
  • 小学校の場合,指導者がそのポイントをつかみきれているか。

そこで,この学生はiBooks Authorを利用し,小学校体育科の鉄棒に関わる教材を作成した。そこには,各技の関係図,普通やスロー,ポイントを強調した動画,教師が指導をする際の言葉かけ(指導言),などを盛り込んだ教材となった。図を下にあげますが,これ結構良く出来てると思うんですよね。

Photo1

Photo2

引用元:Terashima, K., Takesue, S., Koshimizu, T. & Fujiki, T. (2013). Digital Guidebook Supporting TPACK for Teachers to Teach Learners Motor  Skills in Physical Education. In Proceedings of World Conference on Educational Multimedia, Hypermedia and Telecommunications 2013 (pp. 128-133). Chesapeake, VA: AACE. Retrieved from http://www.editlib.org/p/111943.(Victoria, Canada: Fairmont Express Hotel, June 26, 2013)

「見ん者」は撮影し,見本と比較し,関連付けできるということのようで,今回提示したものは,そこまではできません(そういうことができれば良いよね,と言っていたが,一方iCoacherなどというそれに近いアプリがあるのも事実)。それとは別にこういう教材があるのも悪く無いと思います。

やはり,ただタブレット端末を活用するだけではなく,体育としての教材の知識(この場合だと技に関する知識)やその教え方に関する知識を持っていなければ,指導できないのではないかと思います。ICTの活用指導力の育成は,そこまでサポートできないといけないのかなと考えます。本来は先生が取り組むべきことかもしれませんが・・・。