授業づくりのための共通言語

昨年度に続き,27日,28日と北九州市立大学のFD研究会に講師として呼ばれた。担当の山崎先生には,JSETの全国大会で実行委員として色々とお願いしたこともあり,今回もまた私でできることならばと,お引き受けした。テーマはいずれも授業づくり,インストラクショナルデザインで,27日はひびきのキャンパス,28日は北方キャンパスで実施した。

ひびきのでは,私の講演の後,山崎先生からのIDを適用した事例の紹介。その後,春からのシラバスに基いて授業づくり演習と議論を行った。大学では知的技能にフォーカスして授業をつくることが多いことをお互いに確認した。工学部の先生が中心なので,IDのシステム思考もうまくハマったように思う。

北方では,文系学部の先生が多い。時間もひびきのの半分の90分だったので,私の講演と,質疑応答であった。色んな質問が出された。特に,目標を明確にし過ぎると,活動が絞られすぎてしまうとか,感じ方や感動を伝えたいなどのコメントがあった。また,問題解決力を学生に身につけさせる方法についてもコメントがあった。

IDの理論だけでは対応できないものは,教育方法としてたくさんある。多分基礎の数%のみが基本的な考え方として,該当するのではないかと思う。それでもなお,私がIDに基づいた指導の重要性を指摘するのは,誰でもできそうな方法論であること,自分が授業について分析する,あるいは他者と授業のことについて議論をするための「共通言語」となりうるからだと思う。教育の問題は,だれでもこれまで教育を受けているし,どの方向からも語りやすい。だからこそこの「共通言語」をしっかりと持っておきたいと思う。教育工学の主要な知見である。

大学のFD研修が一般的に深まりを見せつつある。基本理論だけではなく,そこから深めたFD研修のプログラムが今後は必要となってくるだろう。今後大学の先生になる東大や京大の学生さんはすでにプレFDとして,授業のことについて議論するようになってきた(京大文学研究科のプレFDなど)。それより経験のある我々もまた,研鑽をつまねばならない。まあ自分の大学に戻ってしまうと,「FDへの出席率が低い」と叱られるのであるが・・・。

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