帰省時に数冊の本を読んだ。数日かけて紹介していく。
- 作者: 志水宏吉
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2005/11/18
- メディア: 新書
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近年の学力論争は一段落ついているような感があるが,本書は必読文献のひとつになると思う。著者が本書にて一番ウリにしているのが「学力の樹」という考え方である。態度のようなものが根っことなり,知識や高次思考力と言った枝葉をつける。主張はとても納得できる。ただ,著者も冒頭で取り上げている広岡亮蔵の学力論(「学力論のもっとも基本(前提)」という意味で書いていたとおもうが,そこまで一般的かなあ・・・)とあまり変わらないような気がした。僕の意見としては,「態度」というのは「知識」などとはセットでモデルとしてはまとめられないのではないかと思っている。それを醸成していくやり方,その際の主体が異なるから。
まあ,それは良いとして「測ることの出来る学力」に対する教育社会学的な調査,「効果のある学校」(effective schools)の事例研究はとても参考となる。特に後者に関しては,カリキュラム研究や教育工学研究の視座からの研究がもっとあっても良いと思われるので,参考にしたい。ただ,論文にはなりにくいとは思われるが・・・。「効果のある学校」については志水先生の他の文献で勉強したほうがよさそうだ。