教育実践研究をまとめる(16)進めるうちにモデルが見つかったら

教育実践研究も,先行研究にあたった上で,それに基づいて研究をすすめる。一方で,こうしたことはないだろうか。すでに教育実践研究を計画し,進めている際に先行研究となる実践のモデルが見つかった。あるいは,知ってはいたが,自分のやっていることがある研究で取り上げられているモデルと実は密接な関係を持つことに気がついた。「モデル」という言葉は結構微妙な言葉なので,ここではこれを詳細に取り上げることは避け,先行研究として同じ意味で用いるが,もっと簡単に言えば,視野には入っていなかった先行研究が見つかった(しかももう実践はスタートしているのにも関わらず)場合どうすればよいかということを考えたい。

一般的な研究においては「もうやってるじゃないか」として,見るも無残に切り捨てられそうである。しかし,教育実践研究においてはそれは異なるのではないかと思う。

進めてきた教育実践の中であるモデルが見つかった場合,実践が終わったあとに自分のやったことを振り返り解釈するものとして利用すると,「ああ,これが足りなかったな(だからうまくいかなかったんだ)」とか「モデルのここが機能したので,うまく行ったのだ」ということに気がつくかもしれない。もう少し欲張れば,当該モデルを用いてもうまく解釈できない,説明がつかないという部分が生じるかもしれない。そうなれば,新たなる提案をすることにもつながる。

ただし一応書いておくと,やはりこうしたモデルは先に見出していることが断然好ましい。そのモデルをスタートラインにし,追試したり拡張したりすることができるからだ。自分が思っているスタートラインよりももっと前でスタートをさせてくれる。結果,思っていたよりももっと先へと行けるかもしれない。教育実践研究においても先行研究の検討は間違いなく必要不可欠である。