心理統計の使い方を学ぶ

柴田康順(2018)心理統計の使い方を学ぶ ー質問紙調査による実践を通じてー. 大正大学出版会,東京 を読んだ。この本は,大学生を対象に書いたもので,特に心理系の卒業論文を執筆する際,質問紙を用意し,得られたデータを分析,それをまとめて考察していく際に気をつけると良い点が示されている。

私は授業などでHADという統計ソフトを利用することがあり,作者の清水先生のサイで紹介されているので手にとってみた。心理学のことを勉強する学生さんで思いがけなく統計と出会うことになり戸惑う人を対象にしていて,その点に非常に気を使った書籍となっている。極力難しい話を避けながら,ポイントを絞ったとても丁寧な説明が行われている。

当初手に入れる前は,統計のことが中心に書かれている書籍,HADのマニュアルに近いものをイメージしていたのだが,どのように研究を進めてまとめるかということを全体的には取り扱っている。著者は指導に悩まれ,その点をできるだけ言語化しようとした結果,このような書籍になっているのだろうと思う。そういう点で,私も指導するという立場の者からすると参考になる点が多い。

私の専門分野もそれにあたるが,心理学系に限らず卒業論文等で統計分析を考えている人には第1冊目として有用な書籍だと思った。