連続する実践研究は「のりしろ」が重要

教職大学院で,教育実践研究の報告書を院生がまとめることについて指導をしてきた。この指導についてあまり言語化できていないところがあり,今後気にとまったことを都度書いていきたいと思う。

報告書をまとめる際に,特に重視しているのは実践と実践の間の「のりしろ」である。院生は2年に渡り,10単位の実習を進める。多くの場合,ひとつのセメスターの取り組みが1章分に相当するので,目的や先行研究,最後のまとめを除けば3,4章分できることになる。この各章のつながりを「のりしろ」と自分の中ではいっている。章と章をどのようにつなぐのか,ということをイメージしている。

ある章の実践研究には,成果と課題がある。ここで取り上げられた課題をクリアすることが,次の章の目的となる。この課題と目的の一致が重要である。

もちろん,前の章に掲げられる課題には,次の章の目的に直接つながるものと,そうではないものがあるだろう。直接つながるものは実践研究の主要なテーマとなるものや全体のデザインに大きく作用するもの,そうではないものは少し改善されれば明らかに効果につながるものや振り返ってみれば当然だが,実践においてできていなかったことがあげられるだろう。