教育実践研究をまとめる(14)計画を実現させるのは自分自身

教職大学院において,教育実践研究をまとめるのは,自分自身である。当然ながら,報告書等の研究成果には,自分の単名でまとめることが基本となる。

一方,現職教員で特に教育委員会等から推薦を受けた方は,組織課題の解決というミッションを背負い,大学院に入学をしてくる。そしてその組織課題の解決過程とその成果をまとめることになる。

このような立場の方において,教育実践研究をその人個人がまとめているにも関わらず,その人自身が見えず,誰が書いているかわからない教育委員会の報告書のように読み取れてしまう事例が有る。これは特定個人の事象ではなく,何回も見聞きしたものである。

これについて,例えば次のように考えると良いのではないだろうか。組織のミッションは,あなた自身が仮にいなくても誰かが取り組むことになる。組織が掲げた目的を実現させる方法はいくつかある。それについて,自分の置かれた立場から目的に到達するために,何をどのように進めるのか,その計画や手段について,「自分が」何を行うのかという視点から説明する。それはすなわち,他の人なら別の計画や手段になるということになることを意味する。

その意味で,特に計画においては,自分がどう意図をして何をするのか,そして組織としては何を行う事になっているのかというように,主語を明確にし,前者については必ず述べるということに注意をすればよいのではないかと思う。計画のすべてを派遣元の組織が決めることではなく,自身では目的の具体化することや,計画段階を自分ごとに置き換えることを意識したい。

加えて言うなら,もし仮に執筆者が教育委員会の所属やそこから派遣される大学院生であったとしたら,この教育実践研究に取り組むことで,自分としてはどういうことを個人的に達成したいか,どのような資質・能力を身につけたいのかなども明確にしたうえで,自身の取組を随時振り返ることができるようになるとさらに良くなると思われる。推薦であれば自治体から資金の援助なども受けている方も多いと思うが,組織にかえすだけではなく,自分の成長へとつなげたい。