「本」カテゴリーアーカイブ

ケータイ社会と子どもの未来

本書は「ネット安全教育」を提唱し,理論・実例の面からそれをわかりやすく解説している。そのバックグラウンドはイギリスのe-Safety Educationに見て取ることができる。日本で一般的に使われる「情報モラル教育」という言葉をあえて使用していない。一般的なものとその異同を私なりに考えてみると,「危機管理」という側面が大きいように思う。確かに,我が国ではこの点での議論がまだあまりなされていないように見える。そのような意味では,また少し違った角度から情報モラル教育を考えるのに重要な一冊になりうるように思う。

個人的には,大学でのネット安全教育への取り組みが参考になった。短時間で何ができるかについて,考える必要があると思う。やはり真剣に考えていかないといけないトピックの一つであるように思う。

プレイフル・シンキング

プレイフル・シンキング

プレイフル・シンキング

プレイフルというのは著者いわく,「物事に対してワクワクドキドキする心の状態」のことを言うそうだ。この視点から著者は仕事との付き合い方について,いくつかの提案を行っている。「学びとはロックンロールなのだから」って,教育工学の分野では上田先生しか言えないと思う(笑)

この本がすごいと思うのは,興味深いワークショップがいろいろと掲載されているけれども,自身が芯に持つ理論(ドェエックの動機づけがベースとなっている)をキチンとしていること,そしてそれを知らない人にもわかりやすく解説している点だと思う。研究者が著書を書くときにしなければいけない当たり前のことをやりながら,新しい事例の提案をしているし,メッセージ性もある。書き方なども非常に勉強になった。

前向きになれる。元気の出ないときにまた読んでみたい。あまり元気のない時は体験したくないけれど(笑)

デジタルネイティブが世界を変える

デジタルネイティブが世界を変える

デジタルネイティブが世界を変える

昨年NHKスペシャルでもデジタルネイティブに関する話題が取り上げられた。デジタルネイティブとはネットなどはじめとしてさまざまなデジタルツールを駆使することができる世代。本書では,13歳から20歳の若者1750名へのインタビューがデータのもととなっている。本書はこの世代がどのような特徴を持ち,彼らがどのような考えを持っているのかについて様々な側面から触れていく。そのスタンスは肯定的なものである。

良さを肯定的な方向でとらえると,確かに大きな可能性がある世代であるように思うし,その世代のことも考えたうえで社会というのはデザインされてしかるべきだと思う。一方で,これって本当に世代を代表しているのか?という疑問もまだある。実際にこれらの世代の人に教えることもあったりするのだけれど,少し違う気もする。日本文化はまた違う側面を持つ,というのもあるだろう。どうやら肯定的なことばかりも考えられなさそうだ。

ただ,デジタルネイティブの良い側面をもっととらえて,新しい観点からの教育や価値観については考えていかないといけないのではないかと思った。そのような意味では,今後の在り方を提案する好著になっているといえるのではないか。

仕事するのにオフィスはいらない

仕事するのにオフィスはいらない (光文社新書)

仕事するのにオフィスはいらない (光文社新書)

副題にある「ノマド」というのは遊牧民のこと。著者は,スマートフォンやクラウドコンピューティングを活かしたより効果的なワークスタイルを提案する。それは,ひとつの場所を「オフィス」とするのではなくて,いつでもどこでもオフィスを実現するということである。実際の使いこなし方に関しても指南している。

このような仕事ぶりは当然高い自律性が求められるわけだが,僕は賛同する。自分の働き方を考えるよいきっかけともなる。ただ,自分の場合は人を相手にしていて,両者がその場にいて初めて実現可能なこともあるので,仕事の集中のさせ方を考えなければならないだろうとは思う。とにかく,この提案をもとに自分の仕事について考えてみるにはよい本だと思う。

僕は研究としては教育,特に学校での教育を専門としているわけだが,このワーキングスタイルのような「自律」にも興味を持っていることを再確認した。このような心理的側面と情報行動に関して研究するのもまた良いかもしれない。

あ,あとiPhoneがほしい。とりあえず,学内のいつでもどこでもオフィスを心掛けてみよう(?)

授業研究法入門

授業研究法入門―わかる授業の科学的探究

授業研究法入門―わかる授業の科学的探究

20章にわたって,授業研究の様々なトピックに関して説明がなされている(中には統計処理など,研究の方法を扱ったものも含まれている)。主として,教育心理学,教育工学にかかわる著者が多いだろうか。わかりやすく,幅広く解説されているため,教科書などに適していると思うので,利用可能性を検討したい1冊である。

個人的には本書で紹介されるような授業ストラテジーや授業タクティクスに興味があるのだというこを再確認した。また,板書についても少し勉強しなければいけないなと思った。