「資質・能力」と学びのメカニズム

次期学習指導要領に向けて,最近は例えば解説が公開されるなどしているが,それに関するこの書籍を手にとって読んだ。
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本書は,次期学習指導要領の背景となる考え方が示されている。どういう経緯でまとまっていったか,キーワードとしては,資質・能力,見方・考え方,主体的で対話的で深い学びと言ったところがあげられるであろう。各種の誤解などについても説明しながら,その本質はどういうところにあるか,具体的にどのような教育場面が考えられるかを丁寧に描いている。
学習指導要領に目を通す前に,まずこれを読んだほうがいいかもしれないと思うほど,具体的でよくわかるものであった。その背景(なぜ今回のようになっているか)についてがよくわかるからである。アクティブラーニングについてももちろん触れられている。最近特におすすめの書籍を聞かれるのだが,私は今後はこれを推薦したい。
特に興味深かったのは,p184からはじまる「明示的な指導」というところである。最近中学校教員を希望する大学院生を持つことが多く,各種教科に立ち入った話をすることが多い。各教科の見方・考え方を彼らが専門でもない私以上に理解できていないなあとよく思うのだけれど,私の話がしたいのがまさにここに書かれていた。教科の何を指導するのか,特に単元を越えて身につけさせたいのは何なのか,ということ。結局はブルーナーの話になるのかなと思った。
こんなことを考えていると,現場の先生が今後苦労していくことになるのだけれど,大学院生に最低限身につけさせないといけないのは,何なんだろう,という疑問を改めて持った。
本書の著者は,以下の書籍において特に教科の本質にアプローチしようとされている。私はこちらの方を先に読んだのだけれど,興味がある人はあわせて読むのが良いだろうと思う。
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