認知的道具のデザイン

「学習などの活動環境を状況論からデザインする」という帯にあるとおり,それらに関する理論と実践がまとめられている。特に7章のアルゴアリーナというソフトの設計と評価に関わる加藤・鈴木論文が参考となった。ここでは学習環境をデザインする際の構成要素として3つのレベルに整理している。

ヒト(組織)のデザイン:組織,制度など

コト(活動)のデザイン:活動内容,目的など

モノ(道具)のデザイン:器具・道具,教育メディアなど

以上が原則として上から,往復しながらデザインされていくと言う。内容がデザイナによって全て可変というわけでもなく制約も出てくるだろうから,往復作用の過程において,そういうときにどのような意思決定をするかが重要であると思った。非常にシンプルでよい枠組みだと思う。

補充用問題

明日の授業も課題に充てるのだが,補充用問題として以下のようなものを使うかもしれない。前村上さんが授業でやってみたと言う話を聞いた。良いものだと思う。ちなみに僕は外大では英米語学科,同志社女子では英文学科を持っているためこのようにしたが,選択言語によっては応用もありえる。課題終了後の合間の時間にやるのはもったいないような気がするので,別途時間を設けるかもしれない。

新聞社,テレビ局などがWeb上で報道している最近のニュースから,世界的に話題となっているトピックをひとつ取り上げ,それが日本と英語圏の国でどのように伝えられているかを調べ(日本,英語圏の国とも2サイト以上が望ましい),その違いがどこにあるかを比較しなさい。なお英語圏の国はアメリカ,イギリス,カナダなど二つ以上あることが望ましい。

だらだら

午前中はプレゼン作成の続き。大体出来上がってくる。あとはストーリーを詰めていきたいところ。午後は力なくだらだらしてしまう。メールの返信,本を読んだりなど。いかんなあ。

内陸アジア史学会

標記の学会の手伝いをしてきました。張り紙,機材の準備,質問時のマイク持ち回り・・・。所長が所属する学会なので,お手伝いでした。会場にいなければならないのに,その会場での話題がまったくわからず・・・。学会が違うと,使用する言語がまったく違うものなんですね。

総合的学習における学習活動の構成要素

稲垣君の本を読んでいる途中で,自分の研究もちょっとは紹介していかなければならないと思いました。私の博士論文は

寺嶋浩介(2003) 総合的学習における情報メディア活用に関する研究 博士課程論文(関西大学)(2003年3月31日)

です。これを中心に紹介していきます。総合的学習というと小学校から高等学校の「総合的な学習の時間」をさしますが,大学等での問題解決学習,構成主義的な学習などにも役立つ知見が含まれていると思います。

今回はそのうちでも以下の2点を紹介。

水越敏行・寺嶋浩介・中橋雄・土井大輔(2002) 総合的学習の設計・実施・評価に関する研究 『情報研究(関西大学総合情報学部紀要)』17 pp.51-81.(2002年8月20日)

寺嶋浩介・中橋雄・土井大輔・水越敏行(2001a) 総合的学習における学習活動のタイプ分け 日本教育方法学会 第37回大会(岡山:岡山大学,2001年9月29日)『日本教育方法学会 第36回大会発表要旨』p.45.

以上にまとめられている総合的学習における学習活動のカテゴリーについて紹介します。総合的学習においては学習者中心の学習が望まれるため,学習者の活動をどう構成していくかが重要となります。構成要素は以下のようにまとめられることが実践の分析の中からわかってきています。

  1. 聞く・見る
    1. 外部人材の話を(講話のような形で,広い視野から)
    2. 教師の話を
    3. テレビ・ビデオを
    4. 作品を(先輩の作品,工芸品など)
  2. 出かける
    1. 外部施設に(図書館や地域の施設)
    2. 野外に(川など)
  3. 調べる
    1. 資料を(図書,ホームページなど)
    2. インタビューをして(子どもたちが目的を持って)
    3. 現地で調査をして(例えば川での水の採取,石集めなど)
    4. 実験・体験をして(調査環境を作って,自分たちで体験的にやってみる)
    5. アンケートをとって
  4. 比較考察する
    1. 他の地域と
    2. 昔のものと
  5. 作る・まとめる
    1. メディア作品を(ビデオなど)
    2. 発表用資料を(パワーポイントなどのプレゼンテーション)
    3. 料理を
    4. 伝統品・工芸品を
    5. 手紙を
    6. 作文を
    7. 観察記録を
    8. カード・ポートフォリオ等に
  6. 交流する・話し合う
    1. 対面で他の学校と
    2. メディアを解して他の学校と
    3. 異学年の人と
    4. クラス内で
    5. グループ内で
    6. 対面で外部人材と
    7. メディアを介して外部人材と
  7. 発表・発信する
    1. 発表会で
    2. 学芸会で
    3. ホームページで
  8. 自己評価する
    1. 成果物をもとに
    2. 自分自身の体験を振り返り
  9. 評価・アドバイスを受ける
    1. 外部人材から
    2. 教師から
    3. 友達から
  10. 教科学習を行う
    1. 導入として
    2. 学習に応じて
    3. 成果に基づいて(総合でやったことを教科学習につなげる)

ひとつひとつのカテゴリーを見てみると,ちょっとどうかなと思うところもあるし,(ねらいなく)活動のみを抽出する批判もあると思います。それを踏まえて博士論文にはこれを入れなかったのですが,あえて復活をさせてみました。とりあえず今日はここまで。