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大阪府のICT担当指導主事を対象に講演

昨日,大阪府教育センターを訪問した。かつて大学院生の実習のために何度か通ったが,実に久しぶりであった。

文部科学省のICT活用教育アドバイザーとして,大阪府から依頼があった講演について事務局から指名があり,日程も空いていたため,実現した。

大阪府の政令市を除く,市町村の教育委員会のICT関係担当指導主事の先生方へ,GIGAスクール時代に教育委員会として配慮する必要がある点について,お話をした。

普段大阪市との付き合いが多く,大阪府での仕事はあまりなかったが,この会を通して,多くの自治体が一所懸命取り組まれている様子などを把握することができた。こうしてすでに進んでいる自治体に対して,大学は何をできるかを考えていかないといけないだろう。

研究会で発表

先週,信州大学において,日本教育工学会研究会が対面で久しぶりに開催された。以下について,発表をした。

勝田 浩次, 寺嶋 浩介, 斉田 俊平, 菊地 寛, 平田 篤史, 中川 一史(2022) 学習指導要領に基づく思考力・判断力・表現力の自己評価用項目の開発-小中高等学校の学習指導要領を対象として-. 『日本教育工学会研究会報告集』JSET2022-2, pp.156-161.(2022年7月2日)
https://doi.org/10.15077/jsetstudy.2022.2_156

ファーストの勝田さんが仕事のため,私が発表をすることになった。研究会での発表は,2017年以来らしい(この間の2年間は研究会委員長で研究会には結構参加はしていたので,まさかである)。

この内容について,昨年度の春先から取り組んできた。夜にZOOMで寄り合い,議論を重ねたもので,実は結構な時間がかかっている。中川先生と勝田さんにこのテーマについて別途同時に声をかけていただいた中で実現したものであった。

学習指導要領を思考力・判断力・表現力の視点から整理したものであり,何らかの形で教育実践に寄与できればと思う。ひとつ形になってよかった。

しかし,大阪ー名古屋ー信州というルートは,最近出張がなくなった中ではなかなかしんどい旅であった。

歴史総合・地理総合・公共(NHK高校講座)

新しい学習指導要領の施行に伴い,高等学校の教育課程は新しい科目などが導入され,私のように外部から見ている分にはかなり複雑に見える。

学習指導要領改訂のポイント
https://www.mext.go.jp/content/1421692_2.pdf
ここの最終ページに,高等学校の各学科に共通する教科・科目等及び標準単位数もある。

このうちたまに話題となる社会科系の以下の3科目がどんなものか,NHK高校講座の1回目を視聴してみることにした。

歴史総合
https://www.nhk.or.jp/kokokoza/tv/rekishisougou/
地理総合
https://www.nhk.or.jp/kokokoza/tv/chirisougou/
公共
https://www.nhk.or.jp/kokokoza/tv/koukyou/

歴史総合は,カレーの話題から国内外の状況に迫り,歴史の視点から見ることの必要性がよく分かる番組で結構面白かった。また,第1回目ということで,この科目を学ぶことの意義みたいものも紹介されておりよく理解できた。

地理総合は,1回目は様々な地図を扱っていた。説明はわかるけれど,問題設定がピンとこないところもあり,個人的にはあまり関心が持てなかった。2回目のGISの回も見たが,同じように感じられた。「主体的な学び」が意識されているのだろうけれど,何でも身の回りのことに置き換えて考えさせるのは難しい感じがした。

公共については,特定の問題について,様々な哲学者,心理学者等の考え方が紹介されており,大学の授業などとも繋がりやすいのかなと思った。「空気を読む」ということが紹介されており,これについてはネットでも批判的なコメントが有ったようだ。ただ,この番組に基づいて,色々と考えたり話し合えたりしたら良いのではないか(実際,「主体的・対話的で深い学び」を意識していてそのような作りとなっている)。今後番組の構成がどの様になるのか,視聴者が興味を持てるつくりになるのか,興味深いところである。

しかし,小・中学校で利用されるNHK for Schoolと比較をすると,20分という時間はコンパクトにまとまっているとはいえ,長く感じるのは時代の流れか。

学習者用デジタル教科書の動向

デジタル教科書に関して,様々検討されているのは知っているのだけれど,最近何がどのように検討されているかがよくわからないので,文部科学省で最近検討されている流れについて調べてみた。調べてみると,なかなか複雑で,法整備から技術的な面,学習面に至るまで,幅広く議論されていることがわかる。今後のためのメモとして残しておきたい。

学校での実施や普及に関してはまだまだ課題がありそうだ。教科書のあり方の変化もまた迫られることから,研究としてもどこに焦点化するかが難しいと思われる。

学習者用デジタル教科書についてhttps://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoukasho/seido/1407731.htm・令和2年度から実施される新学習指導要領を踏まえた「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善や、特別な配慮を必要とする児童生徒等の学習上の困難低減のため、学習者用デジタル教科書を制度化する「学校教育法等の一部を改正する法律」等関係法令が平成31年4月から施行
・これまでの紙の教科書を主たる教材として使用しながら、必要に応じて学習者用デジタル教科書を併用することができることとなった。

令和2年度までの「デジタル教科書に関する各種調査研究」は以下に掲載されている。https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoukasho/digital/1418656.htm

令和2年度「デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議」が設置される。
目的:児童生徒1人1台端末環境におけるデジタル教科書・教材の活用促進について専門的な検討を行うこと。
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/157/index.html

令和3年3月学習者用デジタル教科書の効果的な活用の在り方等に関するガイドライン(改訂版)が公開される。GIGAスクール構想への対応を踏まえて改訂。https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/139/houkoku/1412207_00001.htm


令和3年6月 「デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議」が第一次報告を公表
https://www.mext.go.jp/content/20210714-mxt_kyokasyo01-000016765_7.pdf

令和3年6月 「デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議」の下に、「デジタル教科書の普及促進に向けた技術的な課題に関するワーキンググループ」が設置される。目的:デジタル教科書に標準的に備えることが望ましい最低限の機能や操作性等を明確化すること,過年度のデジタル教科書を使用できるようにするための方策を検討することhttps://www.mext.go.jp/content/20210714-mxt_kyokasyo01-000016765_1.pdf

この「デジタル教科書の普及促進に向けた技術的な課題に関するワーキンググループ」では,
令和4年3月24日「デジタル教科書の導入・管理に関係する統一されることが望ましい仕様等」に関する考え方/学習者用デジタル教科書の導入・管理に関する統一化したCSVフォーマットの使用に係る留意事項 を報告https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/157/toushin/mext_00007.html

令和4年2月「教科書・教材・ソフトウェアの在り方ワーキンググループ」が,「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会」の下に設置される。(なお,特別部会は「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~」(令和3年1月中央教育審議会答申)を受けて設置されているものである)
このワーキンググループにおいては,以下について検討されることになっている。
(1)令和6年度からのデジタル教科書の本格的な導入の在り方(2)デジタル教科書やデジタル教材、関連するソフトウェアの適切な活用方法https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/089/index.html

令和4年4月の第2回会議において,
【資料3】220425_新学習指導要領が目指す方向性と教科書・教材・ソフトウェアの在り方について(案)https://www.mext.go.jp/content/20220422_mxt_kyokasyo02_000022170_02.pdf
【参考資料1】教科書WG検討事項https://www.mext.go.jp/content/20220422_mxt_kyokasyo02_000022170_04.pdfなどを見ることができる。

1人1台端末のプラットフォームを決める(2)

前回,1人1台端末のプラットフォームを決める(1)というのを書いてから,しばらく日がたってしまった。

正直ひとつの答えはなく,いろんな要素に左右されるといえよう。校種や発達段階,教員のスキル。そして,何でも適用できると思われている児童・生徒だって得手不得手があるだろう。

これらの制約事項があまりない場合は,GoogleやらMicrosoftやらの統合系のサービスを基本的に利用するようにしたら良いと思う。そしてそれらが複数ある場合は,基本的になにかに統一するのがよいだろう。

学校においてスキルなどの制約がかなりあると予想される場合,学習支援アプリを導入していくことになるだろう。多分得意な人からすると,「別にこんなものなくても統合系のサービスでできるよね」と思うのだろうと思う,実際にそのとおりだと思う。その一方で,学習支援アプリは,同じ手順を踏んで誰でも利用できる(だから導入されている)ように設計されているという特徴があるのではないかと思う。これらもユーザーの要望に応じて改善され,何でもできるようになってきている。これをベースに利用するというよりも,少数の典型的な機能に絞って,それらは教員全員できるようにしておくというのがよいのではないか。

以上のように,ベースとなる統合系サービスを決め,プラスαの学習支援アプリという全体設計をする。教員個人としては,設計にそのまま乗っかるかどうかはその人に任せ,学習支援アプリからはいる教員と,統合系ツールをベースとする人がそれぞれいても良いのかもしれない。全体的にちょっとずつ進めるとしたらの話だけれど。