情報教育を充実させるカリキュラム・マネジメント(福岡教育大学附属久留米小学校)

先日,福岡教育大学附属久留米小学校を訪問した。私は平成29年度文部科学省委託事業次世代の教育情報化推進事業「情報教育の推進等に関する調査研究」の企画検証委員会委員を担当しており,同校の取り組みを見て,いくつかヒアリングするということが目的であった。次期学習指導要領のキーワードのひとつがカリキュラム・マネジメントとなっており,この事業においては情報教育の充実につながるカリキュラム・マネジメントをどのように行うのかが研究されることになっている。
同校はこれまで,文部科学省の研究開発学校やパナソニック教育財団の特別研究指定を受け,情報科のカリキュラム開発を行ってきているが,そこで得られた知見を,今回の事業に適用した形でさらに発展を図っていた。それを意識した授業が算数でのプログラミング学習や総合で展開されていた。
ヒアリングをしてみると,用意された枠組みをただ利用するだけではなく,どう利用するのが学校にとって価値があるものなのかを考えて,カリキュラム・マネジメントを実施しているように思った。同校の取り組みから生み出されるカリキュラム自体は数年かけて構築されてきたものだから,これから実施をする学校においてはすぐに適用することは難しいが,そのプロセスに目を向けてみると,学べることはいくつもあるのではないかと思う。

反転授業の浸透ー次の段階へ(篠山市立丹南中学校)

篠山市立丹南中学校で公開研究発表会が実施された。パナソニック教育財団の特別研究指定校で,私はアドバイザーを務めている。
研究会ではまず,後の公開授業において活用する動画の紹介が行われた。これは生徒が自宅でどのような動画を見てきているのかがわからないと,授業の内容が参加者も理解できないため,実施された。その後,それらの動画をどのように作成しているかについて説明があった。多くの教員は,Explain Everythingというアプリを活用して作成をしており,その簡便さを紹介された。
続いて公開授業は,数学が2クラス,英語,理科,家庭科が実施された。私から見るとこのラインナップは比較的バランスが取れていたと思う。それは実験や調理の技能(理科,家庭科)を扱うものから,英語と数学のクラスでは比較的丁寧な解説動画,もうひとつのクラスの数学はさらにその先を見据えたもの,という具合に位置づけることができるからだ。私は何度か見てわかっているのだが,授業の進展がとても早い。あるクラスでは開始1分で目標の共有をし,活動に入っていた。これは他も早く回らないと・・・と思ってとなりの教室へいくと,授業はかなり進んでおり驚いた。
全体会においては,研究推進部による説明が行われた。これまでの足跡と,教師の取り組みの印象,生徒の声などが紹介された。その後,私の基調講演,という予定であったが,私が1時間話してもあまり参加者に役立たないと考え,4名の先生方に質問を投げかけながら話すというスタイルを取った。これまでの校内研究会はこのようなスタイルであったし,先生方の生の声を聞いてもらったほうが良いと考えたからである。結果として,それはよかったと思うし,これまでの取り組みを総括できた。
なお,この日に向けて同校が作成した反転授業に関するリーフレットは特に参考になるものである。ゆくゆくは,パナソニック教育財団のWebページに紹介されることになる。
終了後は,これからの課題について話し合った。まだ明文化出来ないところがあるが,
・市内他校,あるいは他校種への拡がり
・対面の授業として何を目指していくか
・本当に生徒の主体的な学びにつなげていくためには何が必要か(生徒の成長プロセスをどう考えるか,どのような動画が主体的な学びにとって効果的か,自身で学習を進めていくことが苦手な生徒に必要な環境は)
などがあげられるであろう。2つ目と3つ目は重なるところが多いと思う。当初の予定を通り越して,着実に進展していると思う。丹南中学校の先生方の努力には頭が下がる。私も大変勉強になった。次は1月に訪問の予定であるが,どんどん進めていただきたいし,未完成でもその先の提案が見たい。

小学校におけるプログラミング教育を考える(大阪市立北津守小学校)

本年度最初で最後のつもりで,プログラミング教育に関する研修の依頼をお引き受けした。2回の研修が計画されており,いずれも授業+その検討+研修と言うかたちで構成されていた。

少し前に実施された1回目は5年理科の授業(ふりこ)。実験の条件制御を考えながら,その実験を考え,実際に検証するというような内容であった。私からはプログラミング教育の背景と,基本事項についてどう考えていくかを演習を通して考えていただいた。

2回目は3年生国語の授業(慣用句)。ある慣用句について,「プログラミン」を用いて子どもたちが表現をするような授業であった。先生方には,事例を考えてきてもらい,私からは基本的な考え方や先行事例を提供し,それを踏まえながらもってきた事例についてともに考えようとした。多くの事例が出てきて,共有できた。

2回の実施を通して,おおよその方向性を共有することができたと思う。やってよかったなと思える研修となった。私は2回の取り組みを通してプログラミング教育における重要点を自分の中で整理することができた。やはり思考力,というのがポイントになり,プログラミング的思考とそうじゃない思考の区分けが必要だと思う。今紹介,実践されている事例について少し整理し言語化できるようになってきた。また,「子どもが考える」というのが大変重要であること,それが新しい学習指導要領にもつながるのだと結びつけることができた。

北津守小学校の先生方は,授業研究会における議論も,その取組の姿勢もまた,非常に前向きだ。1回目の研究授業を実施された先生は,その時の反省に基づきその後の授業の展開について教えてくださった。こうして前向きに発展できる学校の研究はこれから一層進むことになると思う。

なお,研修にあたっては色々と書籍も読んだが,以下の本が特に参考になった。

 

「先行授業実践」も重視しよう

大学院では,幾度となく「先行研究」という言葉が使われる。何か研究を進めていくためには,過去行われた研究と比較し,何をするべきかを考えるというのがひとつのセオリーとなっている。

このような考え方は,授業実践にも適用されてしかるべきだと私は思う。全国では同じような時期に同じ教科書を用いた授業実践が数多くなされている。その幾つかの取り組みは公開研究会やWebにおいて公開され,参考にすることができる。しかし,今まで何名もの授業実践研究の指導に当たってきたが,こうした「先行授業実践」を重視しない例が多い。「対象が変わればやり方が変わる」「そのままやってもうまくいかない」「(なんとなく)面白くない」などがその理由としてはあげられそうである。

こうした「先行授業実践」をそのまませよ,と言っているわけではない,これらを調べるだけで,その後の深まり方が異なるのだ,といいたい。

先日,あるゼミ生の実習で小学校国語「アップとルーズを伝える」(光村図書)の授業展開について議論をする機会があった。なぜそのような授業過程にしたのか,うまくいかなかった理由は何か,これからどう展開していくべきか,ということを話し合った。そして本日,偶然にも金沢星稜大学の佐藤教授の当該単元の報告を目にした。確かに議論をしたことがそこに書かれていたので,その方向性は間違っていなかったことを確認することはできた。しかし,もとからこの報告があれば,授業づくりについてもっと短時間で,もっと深くできたのではないかということが悔やまれる。

もちろん,教材そのものについて理解を深める事は必要だが,それを活用した授業実践が今までどのようなバリエーションをもって行われているのか,是非検討したい。自戒を込めて。

9月中盤から後半も色々ありました

  • 岡山県浅口市で研修(タブレットPC活用)。まる1日の研修に参加をさせていただいた。午前中はタブレットの活用とプログラミングの研修の様子を見学させて頂く。午後は,算数の授業を拝見し,コメント。加えて,タブレットPC活用に関する講演。担当の浅野指導主事の計画がよく練られていた。こういう工夫された研修では,地域の取組が発展する。
  • JSET全国大会は島根で。結果はあちこちで書かれている通りで,またアレを呼んでしまった。それでも長崎での課題を少しでも活かすことは出来たと思う。もちろん,今後考えることも増えた。深見先生と御園先生を中心に笑顔で対応されていたのが印象的だった。今年6月の理事選挙で,大会企画委員会担当はあと2年延長されたので,今後のことを少し考えたい。今回は発表をして色々と参考になる意見をもらった。科研はあと半年なので,うまくまとめたい。
  • 尼崎市アクティブラーニング部会。学会もあり準備がぎりぎりとなったが,当初予定していた流れに上手く収まった。終了後,今後の進め方などを検討。
  • 尼崎市初任研。主体的・対話的で深い学び。昨年度に引き続き。若い先生方が柔軟に課題に取り組まれている姿を見て驚く。今後授業づくりへの研修に発展するとのことで期待。

この他,8月の台風で取りこぼしてしまった講義について再編成と対応。ゲスト講師に来ていただいた皆様には大変お世話になり,無事終了した。
9月も結構仕事がいっぱいな状態で,10月を迎えることになってしまった。