「仕事」カテゴリーアーカイブ

情報モラルの教材を考える(JSET-SIG「教育の情報化」研究会20160306)

和歌山大学で開催された第4回ワークショップ「情報モラル教育の夢を語る~未来を拓く新しいアプローチ~ 」に参加をした。情報モラルに関する講演依頼等は,数年前からお断りするようになった。メディアに関する進展が早く,自身の専門性を考えた時に,もはや難しいと判断をしたからである。

当時は豊田先生(和歌山大学)や藤川先生(千葉大学)から,様々な教材が紹介されたり,その内容についての検討を行ったりした。また,LINE株式会社の方から,普段の取り組みに関しての紹介も行われた。全国各地で,かなりの数の教育的事業を行っているとのことで,驚いた。

みなさんのお話を聞いていて,情報モラルのことを知るにはとてもよい勉強になった。情報モラルにおいて,良質な教材は,それをもとにして普段の経験を引き合いに出すことができ,そこから話を深めていくことができるものなのだろうということを理解することができた。教材開発の大変さを実感した日となった。

大学院では,やはりプロジェクト学習が重要

教職大学院で行われてきた「学力向上実践の好事例収集プロジェクト」の発表会に参加をした。これは木原教授が先導し,数名の大学院生(いずれも現職教員)が,学力向上について実績のある高知や北海道の学校に視察に出かけ,観察やインタビュー等から,そこで注目される取り組みをまとめ,報告をするというものであった。

募集に応じた大学院生が参加をしているため,ほとんどのメンバーが一度きりの訪問にも関わらず,授業での取り組みや,教員へのインタビューを通して,豊富なデータを収集していた。当該校の研究主任の取り組みにも深く注目をしており,かなり参考になった様子がうかがえた。分析の視点を整理したうえで現場に入っているので,漠然とした観察にはなっていなかった点も良かったと思う。

教職大学院のカリキュラムにおいては,とにかく授業をどうするかが議論されがちで,気をつけないと授業数が増えるだけの改革に陥ってしまうことが多い。しかしながら,大学院の肝は,プロジェクト学習を授業内外において導入していくことだと私は思う。今回の発表は,プロジェクトとしても,好事例であったことをうかがわせるものであった。こういう取り組みが増えれば良いと思うし,私も何か考えようと思う。

JAET教育の情報化セミナー20160220

2月20日,大阪教育大学天王寺キャンパスにおいて教育の情報化セミナーが開催されました。テーマは「子どもの能動的な学びを支える情報活用能力育成とICT活用」というアクティブ・ラーニングの実施と,実際に調査が行われ,その能力の育成が期待される情報活用能力の育成が主なテーマとなりました。

基調講演として,豊田充崇・和歌山大学教授(JAET理事)に「情報活用能力育成のための授業づくりとその評価方法」というテーマをお願いしました。実際に文部科学省で行われた情報活用能力の調査とその読み解き方を中心に,実際に問題を問いてみることで,能力の育成や評価および,その能力を高めるための授業実践について考えていきました。

続いて,4名程度のグループで,2会場に分かれていただき,ブロックセッションを実施しました。お互いの会場の情報を収集していただき,最終的にはそれらの情報を統合していただくことで,セミナーの活性化を意図しました。ひとつの会場においては,情報活用能力を育成するためのカードやハンドブックの活用,デジタル教科書の活用,情報モラルのカリキュラム開発についての発表が行われました。またその隣の会場においては,実物投影機や,教師におけるICT機器の活用についての非常に多彩な事例報告,そして21世紀型スキルの育成を教科内でタブレット端末を活用して行われた報告があり,どれも非常に充実した新しい取り組みが報告されました。また,ブロックセッションにおいては,企業展示を見て回る時間も取られ,参加者は最近のICT機器やコンテンツに関する情報収集を行っていました。

ブロックセッション終了後は再びひとつの会場に集まり,テーマを充実させるために重要なポイントを3つ考え,グループごとにまとめてもらいました。旧来から言われてきたように,どのような能力を育成するのかを明確にすること,そして,情報活用能力の中でも表現やコミュニケーションを意識すること,一方で学習自体の楽しさも重要であることが共通点として明確化されました。

半日のセミナーではありましたが,充実した取り組みを実施することができました。参加者の皆様や出展していただいた企業の皆様に御礼申し上げます。

 

JSET大会企画委員会20160207

大阪大学豊中キャンパスで,JSET(日本教育工学会)大会企画委員会が実施された。実ははじめて行ったが,空港からのアクセスも大変よいところだ。9月にこの会場を利用させていただき,全国大会を実施することになる。これにより大阪大会に向けてのスタートを切った。

これまで大会企画委員となり,さらに途中から担当理事として副委員長を務めてきたが,今回,信じがたいが委員長となった。会の進行がうまくいくように,できる事前準備についてはすべて行ったうえで会議に臨んだ。会議は予定されていた時間を10分オーバーしてしまったが,当初予定していた内容については,概ね議論できたのでよかった。私以外のメンバーと大会会場校については間違いないので,このままうまく進んでいくのではないかと思っている。

大会としては,ここ数年で新しく取り組まれてきたことを安定させること,そしてその取組を多くの人にわかってもらうことが必要なように思う。9月末まで,重くのしかかってくる業務であるが,頑張ろう。

皆さん,温かく見守ってください。そして,会員の方は委員でなくても助けていただければと思います。

新しい内容に挑戦した授業(多摩市立愛和小学校)20160201

パナソニック教育財団の特別研究指定校である愛和小学校を訪問した。2年間の研究指定も終盤に近づき,定例の訪問としてはこれで最後となった。

今年は「研究授業では提案性のあるものを」ということを何度か言ったかと思う。今回の授業は,なんとマインクラフトを活用した5年生の保健の授業。事前に初めて指導案を拝見した時は,実に驚いた。冒頭20分間,子どもたちは他のクラスメートが作成した街に対して,安全の視点から,当該の子どもの作品から参考となった点について,ワークシートに書き込んでいた。彼らが操作をする動きや,活動に没頭している感じは,これまで色んな授業を見てきた私でも,ICTの可能性をさらに感じさせるものであった。

授業研究会においては,教師からはかなり手厳しい意見が沢山出てきた(授業の取り組みとは別に,同校の研究会のグレードはかなり上がっていると思う)が,まずは新しい可能性を求めてチャレンジをした先生方に感謝をしたい。実は研究会の途中で気分が悪くなり,また時間もなかったので,私からのコメントは手短なものとなってしまったが,今回訪問し,これまでのことを振り返る良い機会となった。

なお,同校では3月12日に2年間の集大成となる公開研究会が予定されている(すでにICT教育ニュースにも紹介されている)。3コマに渡り,将来性のある授業が公開されることになると思うので,興味がある方は,是非参加をされたい。私も訪問する予定である。