クラスごとで結果が異なる教育実践研究ー結果をよく吟味しよう

教職大学院の大学院生(主としてストレートマスター)が実習で,ある単元や授業の実施を学校から任せていただく。中・高等学校で授業を行う大学院生は,同じ授業に数回取り組むことが多い。例えば任された時間が,3時間の授業で,1組から5組まであったとすれば,15時間授業を実施するーそんなケースにこれまで接してきた。

そこでセオリー通りに,事前と事後にアンケートをとり,評価をすると,こんなケースが出てくる。「1組と2組で結果が全く異なります」。例えば1組では仮説どおり統計的な有意差ありの肯定的評価であったが,2組では有意差が認められないどころか,逆に評価が下がっているなど。こうなってくるとどう解釈するかが実に悩ましい。

そうなったときはやはりまずはきちんと振り返ってみることである。「実は最後の時間の直前はプールであった」「教科担当の先生が担当のクラス」,あげくは「この日のこのクラスはテラシマ先生が来たから」とまで言われたことがある(行かんかったほうがよかったんかい!)。本当かどうかわからない。でも解釈は必要である。人間を対象に進めている教育実践研究は改めて,このようなことは起こりうることだろうという前提を共有したい。

もちろん,振り返る際には,できるだけ客観的な情報はほしい。先の例であれば,では3,4,5組はどうであったのかという結果があるだけで,見え方がまたずいぶん異なるのではないかと思う。このよくあるケース,私も評価に関わったり,実践研究論文の査読に関わることがあるが,こうした特性を忘れてはならないと思う。