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ICT推進リーダーのための校内研修デザインガイド(PDF版)の公開

現在助成を受けている科研費にて,今野貴之先生(明星大学),倉田伸先生(長崎大学)とともに,「ICT推進リーダーのための校内研修デザインガイド」を作成,公開しました。

以下のページの一番下にリンクをはっております。今年,JSET全国大会で発表したものについて,加筆修正をしたもので,PDF版としてはこれが最終になりそう。https://researchmap.jp/kostera/%E8%B3%87%E6%96%99%E5%85%AC%E9%96%8B

当初の研究の計画としては,オンライン版を作成することになっているのだけれど,それに先立ち,PDF版を作成し,この度公開することになった。現在は,オンライン版作成について進めているところである。

もしよろしければ御覧ください。

インタビューの面白さ

今年度から今まで研究という意味では関わりのなかった,ある研究グループに参加させていただいている。今回,この研究グループにおいて,ある方に対するインタビューが行われた。 インタビュイーに関わるライフヒストリーみたいなもので,それ自体が大変興味深かった。いつも一番不思議に思えるのは,その方がだいぶ前にも関わらず,その当時のことを自身のストーリーに乗せて詳細に報告してくださることだ。やっぱりその道のプロだからなのだろう。自分に置き換えてみると,自分がそのような立場になった際に,本当に語れるかどうか・・・その際に何を拠り所にするのかなどを考えながら聞いた(私の場合,自分の職務に置き換えると,その時の職務,研究業績,記録としてこのWebにも残している講演の経験かなと思った)。

また一人の方に対して,数名が訊ねているので,それぞれの見方からより深めるように質問がなされるので,その質問や意味付け自体も大変興味深かった。ちょうど質的データの分析について書籍を読んでいたところだったので,それとも関連をさせながら聞いたりした。インタビュアーが誰かによって,構成される世界も変わってくるよなあ。久しぶりに,研究の奥深さを実感する機会となった。が,論文になるかどうか・・・面白いけど,そこからモノになるかどうかが大事だ。

日本教育工学会論文誌に論文掲載

久しぶりに研究の話。昨年末に発行された日本教育工学会論文誌39巻3号は,「教員養成・現職教育の新しい展開」をテーマとした特集号であった。本号に,巻頭言1本を含む,論文3本が掲載された。

  1. 小柳和喜雄・今井亜湖・寺嶋浩介(2015)特集号「教員養成・現職教育の新しい展開」刊行にあたって『日本教育工学会論文誌』39(3) pp.123-126.(2015年12月25日)(巻頭言)
  2. 寺嶋浩介(2015)教員養成学部に所属する教科教育法担当教員の授業イメージー教科専門担当教員との違いを踏まえてー『日本教育工学会論文誌』39(3) pp.153-165.(2015年12月25日)
  3. 木原俊行・島田希・寺嶋浩介(2015)学校における実践研究の発展要因の構造に関するモデルの開発-「専門的な学習共同体」の発展に関する理論を用いて-『日本教育工学会論文誌』39(3) pp.167-179.(2015年12月25日)

この仕事において,査読付きの論文誌に掲載されるのは,何よりも嬉しいことである。苦労を重ねただけに,その喜びは大きい。これを機会に,またさらに頑張りたい。

本特集号においては,編集委員会の幹事役も務めた。本号が無事に発行される運びとなり,これもよかった。

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2月20日に,大阪教育大学天王寺キャンパスにおいて,JAET「教育の情報化」実践セミナーを開催します。テーマは,能動的学習(アクティブラーニング)と情報活用能力。奮ってご参加を!

生徒の利用ログから何がわかるか(京都市立西京高等学校附属中学校)

京都市立西京高等学校附属中学校を訪問した。同校は京都大学,企業との連携でタブレット端末の活用について実証研究を進めている。1人1台の取り組みはこれまでいくつか見てきたが,プロジェクトメンバーから考えるにおそらく私が普段訪問する学校とは異なるアプローチにて活用されていそうだったので,どういうことがされているのかを見させてもらうために,参加をした。予定より早く行って周辺で一服しようと思っていたらこのプロジェクトの一員の村上さん@京都外大と出会い,結局一緒に行くハメに・・・。この人との関係は,もはや運命である。
授業は,中学校3年生の理科,保健体育,数学が同時に公開されていた。他の学校と使っているソフトなどは異なる点もあるが,授業として行っていることは,私が普段見るものと,あまり変わらなかったと思う。基本的には,生徒が個人でタブレット端末へ入力したものを全員で共有するという授業が行われていた。ただ,生徒の学習能力がとても高く,プレゼンテーションにおいてはその能力があるだけではなく,きちんと調べてまとめていたり,その内容についてもよく理解しているなと思った。
このプロジェクトのひとつの主要な目的として「タブレット端末の持ち帰り学習」があるという。京都大学のチームが生徒の活用ログについて分析をし,その結果について発表をしていた。この時代,ログが取れるといっても,何を明らかにするためにどう分析するかを考えるのは,技術が進歩しているだけに逆に難しいと思う。そこはさすがに京大のメディアセンターのチームなので,試行錯誤しながらも分析されている様子がよくわかった。今は「自宅課題」としての分析となっていると思うので,反転学習として設計されるときに,システムの力でどこまで明らかにできるか,大変興味深い。
しかし,このようなプロジェクトをまとめていくのは大変だ。そこはさすがに村上さんである。頑張ってください。

書籍を通して研究の立ち位置を確認する

先日,自分の研究について考えながら,以下の書籍に目を通していた。

[amazonjs asin=”4561233865″ locale=”JP” title=”キャリア・デザイン・ガイド―自分のキャリアをうまく振り返り展望するために (Career Anchors and Career Survival)”]

この書籍には,巻末の付録として著者が指導を受け,その理論の拠り所としているシャイン教授のキャリアや研究業績,来日講演の記録が記されている。シャイン教授の「プロセス・コンサルテーション」(以下の書籍)については,島田先生@高知大学の科研で触れてはいたが,よく考えてみるとどのような文脈でこのような研究が行われたのかは,知らなかった。ある人の研究をただ知るだけではなく,どういう経緯からその研究が生まれてきたのかを確認することで,その研究に対しての見方が深まるのではないかと思った。

[amazonjs asin=”456113140X” locale=”JP” title=”プロセス・コンサルテーション―援助関係を築くこと”]

また,本書には,島田科研として調べていたのではなく,別の研究の切り口を探してた時に出会った本であった。少しアプローチが間違っているのではないかと自分の研究に対して考えていたが,外れてはいないことを少しは実感することができたこと,シャイン教授のように(?)ひとつの問題について違った角度から問題をとらえることができつつあるのではないかとも思え,少し研究に対する立ち位置を確認することができた。