「研究」カテゴリーアーカイブ

インタビューの面白さ

今年度から今まで研究という意味では関わりのなかった,ある研究グループに参加させていただいている。今回,この研究グループにおいて,ある方に対するインタビューが行われた。 インタビュイーに関わるライフヒストリーみたいなもので,それ自体が大変興味深かった。いつも一番不思議に思えるのは,その方がだいぶ前にも関わらず,その当時のことを自身のストーリーに乗せて詳細に報告してくださることだ。やっぱりその道のプロだからなのだろう。自分に置き換えてみると,自分がそのような立場になった際に,本当に語れるかどうか・・・その際に何を拠り所にするのかなどを考えながら聞いた(私の場合,自分の職務に置き換えると,その時の職務,研究業績,記録としてこのWebにも残している講演の経験かなと思った)。

また一人の方に対して,数名が訊ねているので,それぞれの見方からより深めるように質問がなされるので,その質問や意味付け自体も大変興味深かった。ちょうど質的データの分析について書籍を読んでいたところだったので,それとも関連をさせながら聞いたりした。インタビュアーが誰かによって,構成される世界も変わってくるよなあ。久しぶりに,研究の奥深さを実感する機会となった。が,論文になるかどうか・・・面白いけど,そこからモノになるかどうかが大事だ。

日本教育工学会論文誌に論文掲載

久しぶりに研究の話。昨年末に発行された日本教育工学会論文誌39巻3号は,「教員養成・現職教育の新しい展開」をテーマとした特集号であった。本号に,巻頭言1本を含む,論文3本が掲載された。

  1. 小柳和喜雄・今井亜湖・寺嶋浩介(2015)特集号「教員養成・現職教育の新しい展開」刊行にあたって『日本教育工学会論文誌』39(3) pp.123-126.(2015年12月25日)(巻頭言)
  2. 寺嶋浩介(2015)教員養成学部に所属する教科教育法担当教員の授業イメージー教科専門担当教員との違いを踏まえてー『日本教育工学会論文誌』39(3) pp.153-165.(2015年12月25日)
  3. 木原俊行・島田希・寺嶋浩介(2015)学校における実践研究の発展要因の構造に関するモデルの開発-「専門的な学習共同体」の発展に関する理論を用いて-『日本教育工学会論文誌』39(3) pp.167-179.(2015年12月25日)

この仕事において,査読付きの論文誌に掲載されるのは,何よりも嬉しいことである。苦労を重ねただけに,その喜びは大きい。これを機会に,またさらに頑張りたい。

本特集号においては,編集委員会の幹事役も務めた。本号が無事に発行される運びとなり,これもよかった。

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生徒の利用ログから何がわかるか(京都市立西京高等学校附属中学校)

京都市立西京高等学校附属中学校を訪問した。同校は京都大学,企業との連携でタブレット端末の活用について実証研究を進めている。1人1台の取り組みはこれまでいくつか見てきたが,プロジェクトメンバーから考えるにおそらく私が普段訪問する学校とは異なるアプローチにて活用されていそうだったので,どういうことがされているのかを見させてもらうために,参加をした。予定より早く行って周辺で一服しようと思っていたらこのプロジェクトの一員の村上さん@京都外大と出会い,結局一緒に行くハメに・・・。この人との関係は,もはや運命である。
授業は,中学校3年生の理科,保健体育,数学が同時に公開されていた。他の学校と使っているソフトなどは異なる点もあるが,授業として行っていることは,私が普段見るものと,あまり変わらなかったと思う。基本的には,生徒が個人でタブレット端末へ入力したものを全員で共有するという授業が行われていた。ただ,生徒の学習能力がとても高く,プレゼンテーションにおいてはその能力があるだけではなく,きちんと調べてまとめていたり,その内容についてもよく理解しているなと思った。
このプロジェクトのひとつの主要な目的として「タブレット端末の持ち帰り学習」があるという。京都大学のチームが生徒の活用ログについて分析をし,その結果について発表をしていた。この時代,ログが取れるといっても,何を明らかにするためにどう分析するかを考えるのは,技術が進歩しているだけに逆に難しいと思う。そこはさすがに京大のメディアセンターのチームなので,試行錯誤しながらも分析されている様子がよくわかった。今は「自宅課題」としての分析となっていると思うので,反転学習として設計されるときに,システムの力でどこまで明らかにできるか,大変興味深い。
しかし,このようなプロジェクトをまとめていくのは大変だ。そこはさすがに村上さんである。頑張ってください。

書籍を通して研究の立ち位置を確認する

先日,自分の研究について考えながら,以下の書籍に目を通していた。

この書籍には,巻末の付録として著者が指導を受け,その理論の拠り所としているシャイン教授のキャリアや研究業績,来日講演の記録が記されている。シャイン教授の「プロセス・コンサルテーション」(以下の書籍)については,島田先生@高知大学の科研で触れてはいたが,よく考えてみるとどのような文脈でこのような研究が行われたのかは,知らなかった。ある人の研究をただ知るだけではなく,どういう経緯からその研究が生まれてきたのかを確認することで,その研究に対しての見方が深まるのではないかと思った。

また,本書には,島田科研として調べていたのではなく,別の研究の切り口を探してた時に出会った本であった。少しアプローチが間違っているのではないかと自分の研究に対して考えていたが,外れてはいないことを少しは実感することができたこと,シャイン教授のように(?)ひとつの問題について違った角度から問題をとらえることができつつあるのではないかとも思え,少し研究に対する立ち位置を確認することができた。

そろそろ研究も

めずらしく研究の話。みんな新年度から1ヶ月たってそろそろ一段落したのか,研究打ち合わせやプロジェクトなどがこの1週間に立て続けに行われている。そこで感じたことはふたつ。

ひとつめはこのごろ,研究テーマが焦点化されてきたように思う。教育におけるICT活用研究と教師教育研究の交差点が自分の研究対象となるのだろうと思う。それぞれに関心を持って行っているつもりだが,ICT活用に関する教師教育だとか,教師教育における手段としてのICT活用だとかがその交差点となる。前はもっと手広くやってきた(その分,色んな査読が回ってきていて苦しめられているのだが)と思うが,使える時間も限られてきているし,深めて勉強したい部分が出てきているからだと思う。いや,改めて整理できただけなのかもしれない。両者のフィールドの根底に流れているのは,学習者自身が自発的に学び続ける姿勢なのだろう。

ふたつめは,自分よりも若い研究者と仕事をすることが増えてきているし,そういう環境を自分も求めているということ。特に昨今,自分より若い人は,私なんかよりもはるかに厳しい環境にある。その中で頑張っている方たちは,本当に優秀だし,業績もすごい。これは自分の研究室に院生がいてそれを育てるとかというのとは異なる。このような人たちから学ぶことができるのは本当に勉強になる。

このような環境に身をおきながら,自身の成長を引き続き図りたい。そして研究成果を出しつつ,自分の仕事や他の活動が充実していく,というのが理想である(これが難しいのである)。